したとうり
昔、哈尼山村の父と息子が山へ狩りに出かけた。
山に入る前に父親は息子に「山の中ではわしの許しなしに、勝手に喋ったり、やたらに銃を打つな、わしのする通りにするんだ、いいな」と言った。それから二人は支度をし、猟銃を抱えて山へ入った。
山へ入ると、二人はさっそく獲物を捜し始めた。
ところが不意に小さな虫が飛んで来て、父親の右目の中に飛び込んだ、父親はとまって銃を置くと、急いで両手の人指し指で瞼をひろげ、息子の前へ行くと黙って目に入った虫を取るように示した、すると息子は父親がやっている通りに人指し指で瞼をひろげた。
父親は俺が示していることが分かっていないのだと、虫を取る仕草をした、すると息子はまたその通りにしたので、父親はなおいっそう強い身振りで虫を取るようにした。
すると息子もなおいっそう強く父親のする通りにした。父親はじれったくなって、いきなり“パン、パン”と息子の両頬を殴った。
すると息子も手をあげて父親の両頬を殴ろうとするので、父親は息子の手を掴まえ大きな声で「馬鹿野郎、何時までわしの真似をしてるんだ」と怒鳴った。
息子は両手で顔を押さえながら「だって山に入る前におとっつあんは、わしのする通りにしろと言ったじゃないか」と言った。
分けて持つ
ある日、馬方が白い馬に重い荷をのせて牽いて行った。
馬方は村の入り口に来ると、馬が力をふりしぼって歩くのを見て、このまま村へ入って人に見られたら俺のこの白い馬の恥じさらしだ、馬の荷を俺も持って馬を助けたほうがいいと思った。
そこで馬方は鞍を馬の背からはずし、鞍を自分の肩に担いで馬に乗って村へ入った。村人たちが「どうして鞍を担いで馬に乗っているんだ、馬の荷が重くなるばかりじゃないか」と言うと、馬方は 「馬の荷が重いから俺は馬の鞍を担いで、重い荷をつけた馬を助けているのだ、馬に乗っているんじゃない」と答えた。
村人たちはそれを聞いて、「ハハハ」と大笑いした。
西双版納哈尼族民間故事集成 1996・10・19