やっぱり乞食
乞食がいた。家に一枚の福の神の画を飾り、物乞いに行く時は何時もこの福の神の像を拝んでから出かけた。長い月日のうちに福の神も感心して、ある日、乞食の夢の中に現れ「廟の門の上に三本の天矢がある、お前はその天矢をとって射てみよ、いいことがあるから」と教えてやった。
翌日、乞食は廟に行き、門の上の天矢を一本とって射てみると、矢は百歩ばかり離れた石臼に当たった、石臼の上には木製の脱穀の道具がついている、乞食はこれを鋸で切ってみると中に水が入っていた、乞食はこの水を瓢箪に入れておいた。
しばらくして、城に皇帝の后の病気を治す医者を求める告示が出た。乞食が城へ行って、この水を后に差し上げると、たちまち后の病気が治った。皇帝は大喜びで、乞食に金を与え、宮廷の侍医にした。もと乞食は毎月何回か后を診ればそれでよかった。乞食は急に偉くなって楽な暮らしになると、飲んだり食ったりして遊び、あとは何もしない。やがて手も足も動かすのが億劫になり、だんだんと月に何回かの后の脈も診に行かなくなった。これを聞いた皇帝は怒り、乞食を追い出してしまった。
乞食は行くところがないので、また福の神の夢を思い出して廟へ行き、第二の天矢を抜いて放した、こんどの天矢は遠く離れた大きな石に突き刺さり、石が割れると中から白く輝く銀貨がどっと出た。乞食はこれを見て、“俺ひとりで拾うのは大変だから、明日人を雇って拾わせよう”と考えた。
ところが翌日行ってみると、銀貨は全部、他人に拾われて一つもない、乞食はポカンとしてしまい、また第三の天矢を射ることにした。
第三の矢は瓢箪棚になりさがった瓢箪に当って、瓢箪が割れた、乞食はきっと中に宝物があるに違いないと急いで拾ってみると、中にあったのは一枚の紙で、『高官にしてやれば宮廷に行くのを怠け、銀貨をやれば、腰を曲げて拾うのを怠ける、お前には福運がないのだ、自分で自分を怨め、乞食はやっぱり乞食だ』と書いてあった。
撫順市巻下 1996・2・20