逆にやりこめる

 むかし、老夫婦、息子夫婦とその娘の五人で暮らす家があった。百姓仕事で毎日みんな庭先きをせわしく動き回り暇がない。
 ある日、娘が井戸へ水汲みに出かけ、水汲みの小さな桶をうっかり井戸の中に落としてしまった。娘は慌てて家に戻ると「おっかさん、わたし桶の中に井戸を落としてしまった」と言った、母親は晩の支度をしているところで、それを聞くと「何だって、あんた、そんなに大きくなってまだ言葉が使えないの」と言った。

 薪をきっていた父親が、女房のこの言葉を聞くと力をいれて「よく言うよなあそんな娘を育てた母親は何処の誰だ」と言った。
 家の中で縄をなっていた老父が息子のこの言葉を聞いて持った縄を土間に叩きつけ、 「馬鹿め、よく言うよ。お前こそわしの築いた家の敷居を出はいりするだけじゃないか」と言った。

            撫順市巻下                                     1996・2・20                                                           

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