鯉はなぜ登龍しなくなったか

 鯉は天界の龍門へ登り、龍になると言うが、今はどうして龍門へ登らないのか。これにはある物語がある。

 ずっと昔、毎年陰暦七月十五日の中元の節句は下界の鯉が天界の龍門に登り、龍になる日であった。七月になると、魚はみんな水面に浮きあがって、鯉が龍門に登り龍になるのを祝う。しかし龍になれる鯉は純白、重さは九斤十四両これより多くても少なくてもいけない、登る時に何も持つことはできない。この三つを守って龍門を登らなければ鯉は龍になれないのだ。

 下界のある純白の鯉が毎日天界の龍門に登り龍になりたいと願っていたが、重さが少し足りない、ひたすら食べて龍門へ登る中元の節句の日になって計かってみるとまだ二両足りない。ある亀の精がいた、千年の修練を経て大きくも小さくもなれる。
 その亀が鯉に「今年は龍門に登れるかね」と聞くと、鯉はしよげて「恐らくもう行けないだろう、重さが二両足りない、来年の中元には多くなってしまう」と答えた、「お前さんは行きたいのか行きたくないのかね」 「もちろん行きたい」と答えると、亀が「お前さん、俺を連れて行けばいい、最後の機会だから俺が助けてあげよう」と言った。鯉は「それはありがたい」と言った。

 こうしてふたりは約束すると、亀が「俺は大きくも小さくもなれるから、お前さんの足りない分がいくらでも大丈夫だ、お前さんが腮を開けば俺が腮の中に入る」と言った。三つのことをかなえた鯉が龍門に登ると、天帝はこの鯉を銀河の深い淵に十年住まわせ、その後で龍に変え天界での官職を与えることにした。亀は鯉の腮の中にいるのは退屈だと思い「おい、腮を開いてくれ、俺は天界を見てくる」と言った、鯉も腮に亀が入っていては気持ち悪いと、腮を開いて亀を出して深い淵に入って行ったが龍宮の入り口を天界の兵士が守っていて亀を通さない事を教え忘れた。
 天界の見張りが出てきて銀河に亀がいるのを見るとすぐ捕まえて天帝の前にひきだした、「お前は何しに来たのだ」と天帝が聞いた。亀は心の中で初めに約束したのに鯉のやつ俺を見放したなと、亀は鯉を恨み、本当のことを話した、天帝はこれを聞いて、お前らふたりはわしを騙したのだと、鯉をひっぱりだして下界へ戻せと命令を下した。鯉は天界から落とされ、尾が先に地に落ちたので今でも鯉は赤い尾をしている。

 それからは天帝は鯉を二度と龍門に登らせず、亀を罰して、ただの石碑にして永遠に亀に戻れないようにした。   

           撫順市巻上                                     1995・12・19

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