張二と張三

 張(チャン) 家は長男の張大(チャンタ-) が早死しましたが、張二(チャンアル) と張三(チャンサン) がいました。張二は人がよくて何時も地主に騙されていましたが張三は利口でどんな事にも機転のきく人でした。

 ある年、張二は河西の大地主王大肚子(ワンタ-トウズ) の小作人に雇われました。王大肚子は「ほかでは小作人を一年二石の食糧で雇うがわしは三石だす、だが一つ条件がある、わしがいう仕事をお前さんにやって貰うが、できなければ一石減らす」と言いました、張二は「いいですよ」と返事をしました。

 ある日、張二が水汲みから帰ると王大肚子が「張二、井戸は遠いか近いかね」と聞くので「遠いですよ」と答えると王大肚子は「遠いのが嫌なら井戸を俺の家の庭に運べ」と言いました、張二が「井戸は運べません」と言うと「運べないなら一石減らす」言われてしまいました。張二は小作料を一石減らされてもまだ二石あれば、ほかの家の小作料と同じだからいいと思いました。
 二日たって、張二が畑から馬をひいて帰ると、王大肚子が「張二、馬を土塀の上にひいて散歩させろ」と言いました「できません」 「できない、それならもう一石減らす」これで小作料は一石だけになって、ほかの小作人より少なくなってしまいました。

 ある日、種まきがおわると王大肚子が「張二、種まきはおわったかね」と聞きました、張二が「おわりましたよ」と答えると「それはよかった、じゃあ、ついでに家の屋根の上に幾うねか豆の種をまいてくれ」 「まけませんよ」 「それなら一石減らす」 こうして張二は王大肚子の所で一年ただ働きをさせられました。
 張二は家に帰ってこれを弟の張三に全部話しました、張三は「兄さん、来年は俺が行くよ、三石の食糧を取り返して来なけりゃ」と言いました。

 翌年の一月六日、張三が行きますと、王大肚子は「お前の兄貴はどうしたんだ」と言いました、「兄は病気なので今年は俺が仕事をします」 「そうか、それなら去年と同じ条件だな、一年で食糧三石だが、わしのいう仕事をしなければ一石減らす」 「わかりました、でも俺がやると言うのに旦那がやらせなかったら、どうなります?」 「そうしたら一石ふやしてやるさ」 「そりゃあ有難い、約束しましたよ」

 さて、張三が水汲みから帰って来ると、王大肚子が言いました、「張三、井戸は遠いかね、遠くないかね」 「遠いですね、一回の水汲みに往復三里ですから、とても疲れますよ」 「それなら井戸をわしの家の庭に運んで来い」張三が「はい」と言って水瓶を大きな車にのせて出かけると王大肚子は張三がどうやって井戸を運ぶかとついてきました。井戸に着くと張三は「旦那、井戸を車にのせるのを手伝ってくださいよ」 「井戸をどうやって車にのせるんだ」「車にのせないでどうやって井戸を運ぶんです?」 「それなら運ばないでいい」 「運ばない、それなら小作料一石ましですよ」  
 二日たって張三は畑から馬をひいて帰って来ました、すると王大肚子が「張三、馬を土塀の上で散歩させろ」と言いました、張三は「はい」と言って先に土塀に上がり振り返って「旦那さん、馬を土塀へ押し上げてください」 「わしには押し上げられないから、早くおりて来い」 「散歩させないんですか、それならもう一石ましですね」  

 ある日、種まきがおわると、王大肚子が「張三、家の上にも幾うねか豆の種をまいてくれ」と言いました、張三は「はい」と言うと、屋根に梯子をかけ大きなツルハシを持って上がり屋根をけずりはじめました、王大肚子は慌てて「屋根をけずるな、雨漏りしてしまう、お前にもう一石ふやしてやる」と言いました。

 こうして張三は一年小作して六石の食糧を取り、張二の小作料三石も取り返しました。

           沈陽市巻中                                      1995・12・9

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