長官と毒殺事件

 夫と不仲な女が、漢方薬の医者と密通していた。

 女はいくいくこの漢方薬の医者と夫婦になりたかったので、医者に毒薬で夫を殺すことをもちかけた。医者はかかわってはまずいと、とりあわず「干し飯、豚の肉、春雨の煮込みを食べさせればきっと死ぬ」と教えた。女は半信半疑でこの料理を医者の家で作り、それを持って我が家へ帰った。

 女は急いで歩き、暑くなったので、大麻の畑の中でひと休みし、料理を包んだ布を開き、その布で汗をふいた。そして夫がこれを食べて死んでくれるかと思うと、何となく涙がこぼれ、涙が料理の中に落ちた。この時、風が吹いて、大麻の花が料理の上に散ったので、女はその花びらを捨てた。

 さて、女の夫はこの料理を食べて死んだ。 
 夫の親戚はみんなこの女が医者と姦通していることを知っていたし、急死した男の顔色もおかしいと官府に訴えた。官憲が調べると、女と医者は確かに情を通じていることが分かり、検死すると果たして毒殺であった。

 二人は捕らえられると姦通を認め、女は医者の毒薬の処方を話した、医者は「私は人を殺す気はありませんでした、古今東西、干し飯、豚肉、春雨の煮込みで人が死んだでしょうか」と弁明した。

 官府の長官は非常に学があり万巻の蔵書があった。長官は漢方薬の医者に理があると見て二人を牢に入れると退庁して自ら医学書を調べた。
 調べに調べると果たして「女の涙が大麻の花にしみると猛毒になる」と言う一条を見つけた。

 これにより女は死刑、薬の医者は死罪を免れた。  

            李占春故事選                                    1995・9・2

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