町と田舎の親戚

 町の人と田舎の人が親戚同志になり、町の人が田舎の親戚の家に何日か泊った。
 親戚同志になった田舎の人が町の人に「わたしが一日お供して田舎がどんなものかご覧にいれますが如何ですか」と言い、二人揃って出かけることになった。

 しばらく行くと道に大きな牛の糞があった、田舎の人は町では牛を飼っていないだろう、からかってやれと「これは何だか知っていますか」と町の親戚に聞いた、町の人はもちろん知っていたが、わざと知らないふりをして「知りません」と答えた。「これを知らないのですか、これは千重ね餅ですよ」 「へぇ、千重ね餅ですか」

 またしばらく行くと、きつね色の馬の小便がどっさり溜まっている所があった、「これは何だか知っていますか」町の親戚はまた知らないふりをして「知りません」と言うと、「これは黄汁です」と田舎の人が教えた。また二人は歩き続け、ある家の門の前に来た。
 この家は丁度お葬式で、笛吹きと太鼓叩きが雇われ笛を吹き太鼓を叩いていた、「何をしているのか分かりますか」 「分かりません」すると田舎の親戚は勝手に名前をつけて「これはドンドン、プ−プ−です」と言った。

 二人がまた歩き続けて行くと火事に出遇った、「これは何事か、町で見たことがありますか」 「ありません、見たことありません」 「フ−ン、見たことない、これは天まで照らすです」
 またどんどん歩き町の近くの遊郭まで来ると、門の角にお白粉を塗り簪をつけた遊女たちが立っていた。「この美女たちは何をするか知っていますか」 町の人間が遊郭を知らないわけないのに、わざと知らないと言うと、「これは簪娘です」と田舎の親戚が言った、また先に進んで町に入り二人は別の道をとって引き返すことにした。

 途中に畑に囲まれた三角池があった。丁度高粱の実が熟している時で池から亀が這い出して来た、亀は岸に這い上がると高粱を食べた、「ご覧なさいこれは何の曲芸でしょう?」 町の人は相変わらず馬鹿を装った、田舎の人は「高粱食い曲芸」と言って笑った。

 やがてまた田舎の人の家に戻った。しばらくして酒と料理が並べられた、親戚に出すのだから悪いわけがない。酒を飲んでいて、町の親戚は「田舎の人間が町の人間をつかまえてことごとに、あんなに馬鹿にしたから、今度は田舎の人間をひと通りからかって、馬鹿にしてやろう」と考え、田舎の親戚に「余興にひとつ講釈節をお聞かせしましょう」と言った。「それはありがたいことです」
 そこで町の親戚は箸を持って卓袱台の端をを“パパン、パンパン”と叩きながら         

 『親しいお方よ、あなたはすごい  お腹が空けば千重ね餅食べ  喉が乾けば黄汁を飲んで、      
 ドンドン、プ−プ−繰り返し  春夏秋冬天上照らす      
 あなたの奥さん、簪娘より美人   あなたの高粱食い曲芸、三角池の生き物より上手』

 と唄ったとさ。 

          李占春故事選                                      1995・8・28

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