新妻と三人の男
ずっと昔、桃花村に美人で利口な娘がいた、二九、十八歳の時、桃花村から十五里離れた杏花淀の王の家に嫁いだ。
ある日、新妻は綺麗に化粧して実家に帰る途中、頭を丸めた坊さんに遇った。坊さんは美しい娘が一人で歩いているので、騙してやろうと「わしの木魚が小さいとみくびってはいけない、わしは読経がうまく、わしのお経で人が喜ぶ、娘さん、わしと結婚しないか、お金は使い放題だよ」と言った、新妻は知らんぷりして歩いて行った。
するとまた一人の書生が来た、書生は綺麗な新妻を見てすぐ「わたしの筆が細いとみくびってはいけない、わたしは字が上手で、人はわたしの字を褒める、わたしの所に来れば絹の着物が着放題だよ」と言った。新妻はやはりかまわず歩き続けた。
こんどは百姓に遇った、百姓は美しい新妻を見て「俺の犂が小さいとみくびってはいけない、耕すのは早く人は俺の畑を羨む、俺の嫁になれば、お米も粉も食べ放題だよ」と言った。新妻はやっぱり黙って歩き続けながら、里帰りの日に恥知らずの男三人に出遇い、嫌になったうえ歩き疲れてきたので何処かでひと休みして、気を取り直そうと思った。
新妻はあまり歩かないうちに、小さな茶店があったのでそこで休んだ。
新妻が茶店に腰をおろすと、間もなく坊さんと書生も茶店に入って来て同じちゃぶ台の前に座り、酒と料理を注文し、坊さんは盃あげて「土があって増と読み、土がなくても曽と読む、増の土を取って、人を添えてもやはり僧と読む。人は僧侶になりたがる、わしの嫁になれば、銀が二つ、金は使い放題だ」と言って酒を飲み料理を食べた。
すると書生が箸をおき得意気に「口があって和、なくても禾、和の口を取って斗をつければ科に変わる、人は科挙人にあこがれる、、娘さん私と結婚すれば、銀が二つ、絹の着物は着放題だ」と言って盃の酒を飲んだ。
茶店の中にも外にも人が大勢集まって、さっきの百姓もその人混みのなかで見ていた、新妻は坊さんと書生に、公衆の面前でこんな無礼なこと言われて我慢できず、二人を白い目で睨みつけ大声で「木があれば橋、橋の木を取って女を添えれば嬌、人は美女が好き、おっぱいが二つ、一つは坊さん、一つは書生さんにあげる、百姓のお馬鹿さんあんたもいらしゃい」と言いおわると、そこにいた人々はハッハッと大笑いした。
坊さんと書生と百姓の三人は顔を真っ赤にして急いで出て行ってしまった。
姜淑珍故事選 1995・8・12