夢判断
郷試を首席で合格した張文義という人がいた。
田氏の娘を娶り、郷試には自らの才で合格した思っている好漢である。やがて北京で上級の科挙がある年となった。
張文義は、北京の試験はどうしても上位で合格したいと思っていたが、心の中では思いもかけぬ昨夜の夢を心配していた。
そうだ、義母は夢判断ができるというから診て貰おうと妻の実家に、声も出ないほどふさいで、悶々と悩みながら行った。
妻の実家に着くと、義母は留守で、伯母がいた。伯母は「張さん、何しに来たの」と聞いた、「お義母さんに夢判断をして貰いに来ました」 「あの人は留守よ、夢判断なら、わたしが診てあげる、どんな夢をみたの」 「初めの夢は城壁の上の畑です」 「真夜中のは」 「真夜中の夢は楊柳の枝に板の薄い棺桶がかかっている夢です」 「明け方の夢は」 「明け方の夢は、妻と背中あわせに寝ている夢です」
伯母は張文義の夢を判断して、「そういう夢なら、張さん今度の科挙には行かないほうがいいわ」と言った。 「どうしてですか」 「どうしてって…城壁の畑…行く道はあるが、帰る道がない、行ったら帰れない。楊柳にかかった棺桶…死後、土に埋められない。背中合わせに寝る…死後、会えない」 それを聞いた張文義は頭から冷たい水を浴びせられた気持ちになり、すっかり気を落とし、しおれて帰った。
途中で義母に遇った。「どうしたの」 「夢判断をしていただこうと、お訪ねしましたが、お留守でしたので、伯母さんに夢判断をして貰って帰るところです」 「あの人、あんたの夢をどう判断したの」 張文義は伯母の夢判断を話した。「あの人の判断は間違っているわ、わたしが診てあげる」 「どこで診てくれますか」 「いまここで診てあげる」
「第一の夢…城壁の畑に種を蒔いて実がなる。第二の夢…楊柳の枝にかかったっ棺材、高い才。第三の夢…背中合わせに寝る、寝返りすれば向かい合う。あんた安心しなさい、今度の試験は合格よ」
張文義の心配は吹き飛んで、笑顔で家に帰り、勇んで北京に出かけた。
四老人故事集 1995・7・26