子授け女神

 赤ちゃんは生まれると、初めにどうして泣くのでしょう。どうして泣くだけで嬉しがらないのでしょう。それにどうして赤ちゃんはお母さんがわかるのでしょう。

 そのわけは子授け女神の娘娘さまだけがご存知だというので娘娘廟へお参りしてお聞きしますと、娘娘さまには二つのお顔があるそうです。前のお顔は優しく慈悲に満ちております。娘娘さまは子授けの願いを受けると、おおぜいいる赤ちゃんのひとりを抱いて、丈夫なよい子に育つようにと、赤ちゃんに優しい慈悲に満ちたお顔を見せて、その家に送って来ます、赤ちゃんを授かった家は大喜びです。

 こうして娘娘さまは赤ちゃんを送って来ますと、赤ちゃんの目の前で身を翻し、うしろのお顔を赤ちゃんに見せます、その顔は、それはそれは恐ろしい顔です、赤ちゃんは子授け女神の娘娘さまから離れたくないのですが、顔が急に醜く恐ろしくなりましたので、怖くなって「ワ−」と泣きだすのです。それで赤ちゃんの誕生第一声は必ず泣き声になるのです。

 驚いた赤ちゃんは娘娘さまが恐ろしくなり、抱かれた誰かの胸を暖かく思うのです。その誰かの優しい顔は娘娘さまのうしろの恐ろしい顔より百倍も優しいお顔なのです。そうして赤ちゃんは自分に優しい顔を見せてくれたお母さんがいちばん好きになるのです。  

           李占春故事選                                   1995・5・31

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