人参のこども
昔、山のはずれに夫婦とこども二人の四人の家族が住んでいました。大きい女の子は七、八歳ばかりで、小さい男の子は五、六歳でした。若い夫婦は一年中忙しく働いていてましたが貧乏な暮らしでした。
ある日、父親は山へ柴刈りに、母親は籠を抱えて野草を採り行き、二人の子どもは家に残され、庭で遊んでいました。すると外から大きな顔した色の白いまるまる太った男の子が来ました、足が短くて、赤い腹掛けをしていました。その子は庭に入って来ると、二人の姉弟と仲よく遊び、夕日が沈む頃になると急いで帰りました。
翌日、日が昇るとまた男の子は遊びに来ました。お昼になって、姉弟の母親が帰って来て、庭で小さな男が自分の子と遊んでいるのを見てびっくりしました。この山の前にも後ろにも家は一軒もないので、いったい誰の家の子で何処から来たのだろうと思ったのです。男の子は姉弟の母親を見ると大急ぎで山の方へ走って行きました。
夜になって子どもたちの父親が柴刈りから帰ると、母親はこのことを話しました。父親も、わしらの家は山の一軒家なのに、何処から来た子だろうと不思議がって、子どもたちに「その男の子は何回も遊びに来たのかい」と聞きました、二人の姉弟はそろって「何回も来たよ」と答えました。母親は赤い糸の玉を出して姉弟に「その子がまた遊びに来たら二人でこの赤い糸をその子にそっと結びつけておきな」と言いました。
翌日、父親も母親も外に出ず家の中で休んでいました。日が昇ると、あの男の子が本当にまた来ました、そしてまた庭で姉弟と遊びはじめました。大きな女の子は母親の言う通りに赤い糸をそっとこの小さな男の子の腹掛けに結びつけました。三人の子どもたちは一緒に飛んだり跳ねたりして一日遊び、日が暮れると男の子はまた急いで後ろの山の森の方に走って帰りました。
夜が明けると夫婦は赤い糸の先をどんどんたぐって行き、山の奥の深い森の中に入り、赤い糸がひと株の草につながっているのを見つけました、夫婦がこの草の周りを少しづつ掘っていきますと、それはあの太った小さな子どものような大きな薬用人参でした。夫婦は大喜びしました、こうしてこの家はお金持ちになりました。
姜淑珍故事選 1995・5・17