雄鶏はなぜ啼くか

 この世の初まりに、天帝(玉皇大帝)は動物たちに早く宮殿へ拝礼に来た者を十二支の位につける、遅れた者は十二支の位に列しないと、お布れをだしました。

 龍、虎、牛、馬、鶏、鴨、猫、犬などいろいろな動物は、十二支の一つでも上の位を取ろうと争って宮殿へ拝礼に行きました。雄鶏も朝早く起きて美しく羽をつくろい、頭の二つの角には芙蓉の花をつけ、とても綺麗に飾って宮殿に急ぎました。
 東の海の龍も十二支の上の位につきたいと思いました。けれども龍は細長い体につるつるの頭、大きな鈴のような目玉に牙が外にでて見た目が悪いので天帝が気にいってくれないのを恐れましたがあきらめきれません。そしてやっぱり行くことに決め、みんながでかけてから走りだしました。龍は出発はおそくても雲や霧に乗って走るので、たちまち沢山の動物たちを追い越して前にでました。

 さて、雄鶏は朝早く出発しましたが、頭に二つのどっしりと重い角をつけ、早く走れません。しばらくして龍に追いつかれてしまいました。龍は「雄鶏さん、急がないと十二支になれないよ」と大声で言いました、雄鶏は「わたしの二つの角は太くて重いので早く走れないのです」と答えました。それを聞くと龍はすぐ「あんたは角がなくても綺麗だ、わしが角を持ってやろう、そうすれば早く走れるだろう、天帝に拝礼したら返して上げる」と言いました。

 雄鶏は騙されたとは知らず、心の中で龍に助けられたことを感謝していました。龍は雄鶏の二つの角を頭につけ、雲と霧に乗って早く走り、十二支の第五位を獲得しました。雄鶏も二つの角がなくなり、早く走れて第十位を手にいれました。

 十二支の順位が決まると、龍は雄鶏が角を返せと言うのを恐れ、そのまま東の海に行ってしまいました。雄鶏は龍が見つからず、家に帰っても口惜しくて、毎朝、目をさますと顔を赤くして怒り、喉をふくらませ、首を伸ばして「早く俺の角を返せ」と大声で啼くようになりました。こういうわけで龍には角があり、雄鶏には角がないのです。  

          中国民間文学集成遼寧巻撫順市巻上                        1995・4・11

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