長 寿
古代、東の海に亀が住んでいた。亀は何時も渚で甲羅干をしていたが、やがて陸に住む蛇と交友を結び、事ある毎に酒を酌み、語り、一心同体のように親しくした。
ある日、亀が蛇に言った。「蛇さん、わしに竜王の誕生日の招待状が届いた、一緒に行って竜王を祝い、面目を施そうではないか」「亀さん、それは願ってもないことで、わたしがお供して見聞を広め、ご馳走に与かるなんて、涎が出そうですよ」「竜王が招待していない蛇さんを見て怪しんだら、わしが何とかするから大丈夫だ」「亀さんはいろいろ経験があるから、そこは頭を働かしてくださいな」そこで、亀は長さ八丈もある蛇を眺め、首を縮め、目を閉じてじっくりと蛇を連れて行く理屈を考えた。
翌日、亀は蛇を甲羅に乗せて竜宮へ行き、竜王の前に伏すと身を起こし、竜王の誕生日を祝い、三拝九拝の礼を捧げた、とたんに“バサッ”と甲羅の上の蛇が下に落ちた。竜王は「やや、大胆不敵な亀よな、招きもしない蛇を連れて来るとは」と怒った、亀は慌てず「私は大王さまの益々のご健勝を願ったのでございます」と跪いた、「なんと?」「蛇は生来長く、私め亀は寿禄千年と申します、二つ併せて祝大王長寿」これを聞くと竜王“ハハハ、ハ”と大笑いして「さすが亀じゃ、その忠誠を賞で、これからお前を宰相とする」「ハッ、大王さま、有難うございます」
こうして亀は竜宮の宰相となったとさ。 薛天智故事選