28 昔話とカウンセリング
語り手は「昔話」を語り手自身の「むかし」を込めて語り、聞き手はその語りのなかに、聞き手自身の「むかし」を秘めて聞く、だから、語り手と聞き手は同じ昔話を共有するのではない。
カウンセリングの面談者(語り手)は面談者自身の「むかし」を語り、カウンセラ−(聞き手)はその面談者自身の「むかし」を聞き、面談者の「むかし」を共有する。
昔話は語り手が心を開いて語るから、聞き手は聞き手自身の心の内部をひきだしていく。カウンセリングはカウンセラ−が心を開いて聞くから、面談者は面談者自身の心の内部をひきだしていく。
立場を変え、昔話を聞き手が心を開いて聞けば、語り手の心を深める。カウンセリングは面談者が心を開いて語れば、カウンセラ−の心を深める。
昔話もカウンセリングも人の心の奥底にふれるから語り手と聞き手の心が自然に交流するのである。 (1992年10月)