26  昔話と幻想     

 昔話は二人だけの幻想である。     
 語り手と聞き手。男と女、大人と子供、この二人の幻想なしに昔話は生まれなかったであろうと思う。     

 幻想はあるがままで、「なぜ」はない。だから、昔話はあるがままに語り、あるがままに聞くのである。     

 昔話が私ひとりの幻想になった時、私自身が昔話になる。おそらくそれが私の死期であろう。(1992年5月)      

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