23 昔話と語り聞きの即興
昔話が伝承されてきたのは意図的な改変が昔話になじまなかったからである。だが、語り手と聞き手の無意識な響き合いが全く昔話の伝承にかかわりがなかったであろうか。
語り手の語りと聞き手の相槌、そこに語り聞きの即興が生まれる。意図的な改変のなじまない昔話における語り聞きの即興、それは語り手と聞き手によって無意識のうちに作りだされる昔話の世界であり、昔話を生き生きと伝える力となったであろうと思う。
図書館やお話し会などで活字となった昔話の再話や童話を、そのまま暗記して子供に話すということをよく聞くが、そこにも昔話の語り聞きの即興と同じような世界が広がるのであろうか。(1992年2月)