15 昔話の語り手と聞き手
「児童には菓子よりも話のすきな者がある。しかし彼等は徹頭徹尾聴手であって、話をする役ではなかったのである。如何なる昔話の一つを取り上げて見ても、子供が年長者に向かって語る形で、伝はって居るものなどは絶無である」…柳田国男<国語の将来>
私はこの言葉を、昔話は年長者が年少者に語るもので、年少者が年長者に語るものではないと重くうけとめている。昔を知っているのは何時も相対的に年長者であるからである。
昔話の語り手は年長者、聞き手は年少者と考えると、昔話において、人は常に年長者に対しては聞き手であり、年少者に対しては語り手である。
昔話の伝承は語り手から聞き手へ、年長者から年少者へである。(1991年3月)