いい材料

 粗忽な亭主が舅の所に行くことになって、女房に「どうも心配だな、あっちへ行って何も話せなかったらどうしよう」と言うと、女房は「心配ないよ、行くと、あたしの親が門の所で籠を編んでるから、すぐ『お義父さん何時もお元気でよろしゅうございます』と言うんだよ、おとっつあんが立ち上がったら手をとって槐の木の前に行って『この槐の木はとてもいい材料ですね』と言うとね、おとっつあんが『何の材料にかね』と聞くから、すぐ 『あと三年たてば下は棍棒になりますし、上の方で箱が作れます』と言えばいい、それから一緒に家に行って、この材料の話しを使って話せば、お前さんを馬鹿にしやしないよ」と言った。

 「よし、わかった」と亭主は出かけ、行ってみるとその通り舅は籠を作っていた。早速亭主は「お義父さん何時もお元気でよろしゅうございます」と言った。「やあやあ、よく来ました」 「こんにちは、この槐の木はいい材料ですね」「何の材料にかね」 「あと三年たてば下は棍棒の材料になりますし、上の方は箱の材料になります」 「そうですよ、みんなそう言います、さあ、どうぞ」と舅が言った。

 粗忽な亭主は家に入り、石臼の上のにんにくつぶしの小さな臼を見て言った「お義父さん、このにんにくつぶしの臼はいい材料ですね」 「何の材料にかね」 「あと三年たてば大きな瓶になるじゃありませんか」これを聞いた姑はお可笑しくて思わずおならをした。すると粗忽な亭主は「お姑さん、おならはいい材料です、三年たてばとてもいい鉄砲になりますよ」と言った。  

         四老人故事集                                       1994・11・7

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