お内儀さんと易者
お内儀さんが娘の運勢を見てもらい行った。
易者先生はお内儀さんの生年月日と干支で卦をたて指をおりながら占い、目もとに笑みを浮かべ「いい卦ですよ、吉です、あなたにもうすぐおめでたと出ました」と言った。
お内儀さんが慌てて「先生、わたしは娘の卦を見てもらいに来たんです」と言うと、易者先生、それを聞くやいなや、改まった口調で 「あ、同じですよ、あなたの娘さんがおめでたです」と言った。
お内儀さんはそれを聞くと頭を振って「先生、でもわたしの娘はまだ結婚してませんよ」と言うと、易者先生すぐすらりと「あ、それならあんたの隣の家でおめでたなんだ」と言った、お内儀さんはすこし怒り声で「先生、わたしは雇われの墓守りですよ、隣に家なぞありません」と言った。
易者先生はこのお内儀さんの話しを聞くと、また改まった口調で「だってこの卦はおめでたと決まりです、それなら、あんたの家の周りの木にいる鳥が卵を生むんだ」
それを聞くとお内儀さんは足をならして怒り「お前さん、いい加減なことばかり言って、お墓はね、埋葬したばかりで何日もたっていないんだよ、周りには草だって生えていやしない」と言うと、易者先生、顔をふくらませて図々しく「お内儀さん、あっちにもこっちにも、おめでたがなけりゃ、きっとあんたの体の虱が卵を生むんだ」と言う。
お内儀さんは、話せば話すほど屁理屈になるので、顔色を変え手をあげて易者先生の横っ面を“パン、パン”と両手で叩き「こんな占いなら、あたしだってできる」と言いきるとプン、プンして家に帰ってしまった。それからこのお内儀さんは易者のインチキな占いを信じなくなった。
宋宗科故事集 1994・10・31