自分の子はよい子
世間ではよく“他人の作った野菜はよく見えるが、子供は自分の子供が一番よく見える”と言う。
市場に行った人が焼き餅を買って自分の子に食べさせようと一緒に行った人に「俺はまだ帰れないから、あんた俺のうちに行って、俺の子に食べさせてくれ」と頼んで焼き餅を渡した。頼まれた人が「どの子がお前さんの子だか俺はわからないよ」
と聞くとその人は「あんたが見て一番利口そうな子がいたらそれが俺の子だから、すぐわかる」と答えた。
その人の家に行くと、隣の子、あっちの子、こっちの子と大勢来ている、この子、あの子と見てみるがどの子も利口そうには見えない。頼まれた人は
「アレ、やっぱり一番利口そうな子は俺の子だ」と自分の子供に餅を食べさせた。
そこへ頼んだ人が帰って来た。
「俺があんたに頼んだ焼き餅はどうした」
「お前さんは“あんたが見て一番利口そうな子にやればいい”と言っただろう、俺の子が一番利口そうだったから俺の子にやったよ」と言った。
世間では“人さまの作る野菜はよく見えるが、子供は自分の子が一番よく見える”と言うがもっともなことだ。つまりは誰も自分の子が一番よい子に見えるのだ。
四老人故事集 1994・10・19