義父の誕生日を祝う

 昔、ある所に娘を三人もった地主がいた。長女の婿は文官の状元、次女の婿は武官の状元であったが、三女の婿は農夫であった。
 ある年の六月、この地主の誕生日の祝いに婿たちが来た。
 長女の婿は赤毛の馬、次女の婿は黒毛の馬に乗ってパカパカとやって来たが、三女の婿は馬糞籠を背負って馬糞を拾いながらトコトコと歩いて来た。

 三人が川べりに通りかかると、アヒルたちが川底にもぐったかとみると、別の所から浮きあがったりしていた。
 すると長女の婿が「このアヒルたちはどうして川にもぐったり、出てきたりできるのかな、アヒルはほかの鳥とは違う水をはじく毛があるからだ。俺も普通の人間とは違う、都へ行って文官の状元に受かったのだからな」と自慢した。 次女の婿も「兄さんの言う通りです、物には差別があり、人には高低があり、アヒルには水をはじく毛があります、わたしも武芸に優れ、都へ行って武官の状元に受かりました」と言った。

 三女の婿は口を曲げ、肩をはって「何が違うものですか、瓢箪だって川の底に沈みませんよ」と言った。長女の婿と次女の婿はこれを聞くとムッとしたが何も言えなかった。
 義父の家に着くと、義父は長女の婿を見るとニコニコし、次女の婿を見ると機嫌よくうなずいたが、三女の婿には顔をそむけて知らん顔していた。義父は客が大勢いるので、貧乏くさい田舎者の三女の婿をなんとか早く帰してしまおうと考え、三人の婿の顔を見ながら「お前たち、一人ずつわしに祝いの詩を作ってくれ、できない者は酒も料理も食べずに帰ってくれ」と言った。

 長女の婿は「筆の穂は尖り、筆の身は丸い、都に上り試験を受け文官の状元となる」と言った。
 次女の婿も「矢の先は尖り、矢がらは丸い、都に上り試験を受け武官の状元となる」と言った。
 三女の婿は心のなかで、人を馬鹿にして嫌な爺さんだなと思ったが「鎌の先は尖り、鎌の柄は丸い、刈った麦を束ね、養った二人の息子は試験を受け、文武の状元となる」と顔を上げて言った。  

 山東省一帯では割った瓢箪を“葫芦頭”とは言わない、瓢箪はなかが空洞で水に浮き、沈めても浮き上がって来る。そこで三女の婿は、ほかの二人の婿が自分は凡人とは違うと自慢したのを、形の違う瓢箪を水に沈めても同じように浮き上がる、誰だって同じ人間だと笑ったのである。   

         聊斎 * 子                                        1994・6・10

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