三姉妹(小麦と大麦と蕎麦)
小麦と大麦と蕎麦は母親の違う三人姉妹だ。小麦の母親が死に父親が再婚すると、一年目に大麦が生まれ、二年目に蕎麦が生まれたのである。
この後妻は前妻の子の小麦には着るのも、食べるのもいいものを与えなかったから、小麦は痩せ細っていた。それにひきかえ自分の二人の子には、いいものを着せ、いいものを食べさせたから、大麦は太り、蕎麦は赤いズボン、緑の上着、花の帽子をつけていた。
それでも後妻は小麦が気にいらないで、小麦を何時も殺してしまおうと思っていた。
ある年の陰暦九月、北風が吹いて寒く、早くも霜が降りようとしていた。後妻は小麦に「誰がみてやるものか、とっとお行き」と言って追い出した。
仕方なく小麦は山に住んだが、寒くて今にも死にそうであった。すると祖母が小麦を可哀相に思って、そっと布団を持って来て「小麦や、布団を掛けな、布団を掛けな、この冬は雪が降るよ」と言った。
こうして小麦は冬に耐え、春にまた起き上がって大きく育つから、刈り取って粉に挽かれると、白くて香よく美味しいのだ。
三月、春の暖かさに花が開くと、後妻は大声で大麦を起こし、雨が降り、飢えも渇きもしないまま秋になると、蕎麦を起こした。だから大麦も蕎麦も寒さを知らず、苦労もせずずっといいめをみて育つから、刈り取って粉に挽かれても、黒くて美味しくないのだ。
聊斉 * 子 1994・5・29