黄金を拾う

 昔、兄弟がいた。兄の老大とその女房は何時も他人より、いい暮らしをしたいと思っていて、他人が幸せそうだと嫉妬した。弟の老二はまだ幼くて善人であった。兄夫婦は母親がいる時は老二の世話をしたが、母親が死ぬと何日もしないうちに、米や食べ物をみんなしまってしまい、老二に二間の破れ屋、壊れた家具、小さな畑をやって分家させてしまった。
 春になり、種を蒔く季節になったが老二には何の種もない、兄夫婦に頼むと「明日とりに来い」と言う。兄の女房は高粱の種を少し掴みだすと鍋にいれて炒り、こぼれた生の一粒と一緒にお盆にいれて置いた。翌日、老二はその種を小さな畑に蒔くと、なんとか一株だけ芽がでた、老二はその株にしっかり肥えと水をやると、この一株は太く大きく育った。

 秋になってこの株に大きな大きな穂がついた。老二は嬉しくて時どき見に行っていたが、ある日、一羽の鷲がこの高粱の穂をくわえて飛んで行ってしまった。見に来た老二は穂がないのを見て畑に座って泣き出した。すると鷲がまたここを通り、老二に何故泣いているのかと聞いた、老二は「私が一生懸命育てたたった一株の高粱の穂を誰かに盗まれてしまったのです」と言うと、鷲は「お前さん、泣かないで家から袋をもっておいで」と言った、老二が袋を持って来ると鷲は老二を乗せフワリと空に舞い上がって「俺がお前さんを太陽の出る東に連れて行ってやる、そこには黄金があるから拾って袋にいれて持って帰ればいい。だが黄金が一杯になってもならなくても一番鶏が鳴いたら俺の所に戻っておいで、もし太陽がでたらお前さんは焼け焦げになるからな」と言った。

 鷲は老二を乗せて飛び、夜中にそこに着いた。老二は黄金を袋に半分いれると、まだ夜の明けないうちに鷲の背に戻って来た、鷲は老二を乗せてゆっくりと帰った。
 老大がこれを知って、すぐ黄金を何処から持って来たのかと聞きに来た、老二は本当のことを兄に話した。そこで老大も一株の高粱を植えた、なかなか大きくならないので毎日毎日、水をやり、水をやるたびに「この馬鹿野郎、早く大きくなれ」と怒鳴った。やっと穂が出た。ある日、鷲が来てやはりこの高粱の穂をくわえて飛んで行った。老大は畑に座って泣くまねをしていた、鷲が飛んで来て「お前、家から袋を持っておいで」と言った、老大は家に帰り、女房に急いで長くて大きな袋を縫わせそれを持って、鷲の背中に乗った、鷲は空に舞い上がると「俺はお前を太陽のでる東の空に連れていってやる、あそこには黄金があるからな、だが黄金を拾って袋に一杯になってもならなくても一番鶏が鳴いたら戻って来いよ、もし来なければ太陽がでてお前は焼け焦げになるからな」と言った。

 鷲は老大を乗せて夜中に着いた、そこは一面が黄金で、あちこちに金の塊がキラリキラリと光っていた、老大は大喜びで金の塊を拾い袋がふくらむほどいれたがまだ一杯にならない、もう夜が明けるのに、老大はまだ欲張ってこっちの塊、あっちの塊と拾い続けた。太陽が出て来ると鷲は“ホウ、ホウ”と飛び去り、老大は焼け焦げになって死んでしまった。

          聊斉 * 子                                         1994・5・17

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