七つに束ねた髪

 仲大漢は長身で赤ら顔、頭の髪を七つに束ねていた。生まれた時から髪は七つの束に長く伸び、すだれの房のようであった。そして仲大漢は大変な力持ちであった。
 ある時、仲大漢は町の市場に出かけた、雨のあとで道がぬかんで歩きにくい、十台ほどの荷車が穀物や野菜などを積んで来たが泥道で動けなくなった。仲大漢は大きななつめ木を抜いて、車引きに「お前さんたち、荷物をこの木に結びつけな、俺がまとめて町へ担いで行ってやる」と言った、車引きが穀物や野菜を結びつけると、少なくとも重さは数千斤はあるのに、仲大漢はそれを担いで町へ運んだのである。

 またある時は、仲大漢が親方に雇われ、ロバを牽いて山の畑を耕しに行き、畑に来てから犂を忘れたと気がつき、仲大漢が「すぐ取って来る」と言うと、親方はイライラしながら「どのくらいかかるのだ」と言ったが、仲大漢は一服する間もなく犂を取って来た。

 仲大漢は自分で作った百斤の鉄棒を何時も持ち、権力をかさに人を苦しめる悪い奴を懲らしめた。ある時、知事の息子が人妻を手籠めにするのをみかねて知事の息子を鉄棒で殴り殺してしまった。人妻は丁寧に礼を言って帰って行ったが、知事はこれを聞いてすぐ仲大漢を捕らえる男たちを出した。仲大漢は男たちが東山に登ると西山に登り、男たちが東山から下りると早回りして東山に登る。しまいに男たちは鉄棒を振り回す仲大漢にさんざんにやつけられ、どうしても仲大漢を捕えられない。やむなく知事がこれを朝廷に奏上すると、朝廷は軍隊を発した。

 その時、仲大漢はすでに十里山を占領していて、昼間は山を下りて戦い、夜になると山へ帰った。付近の民衆は裏道を登り仲大漢に食糧を運んでいたのである。半月ほど戦い仲大漢は朝廷の兵を追い払った。それから間もないある晩、仲大漢が山を下り様子を探りに行って帰って来ると一人の娘が麓で泣いていた、仲大漢が行くと泣きながら「あなた様、どうか私に宿を貸して下さい、私は父母と故郷を捨てて来ましたが、今朝早く兵隊に追われ散り散りになり、父母は何処へ行ったかわからないのです」と言った、仲大漢は「俺は一人で山にいるから、どこか近くの村に連れて行こう」と言うと娘は「世の中は物騒で、山の方が安全です、私は暗い夜道でも五六里は歩けます」と娘は言った、仲大漢は可哀相になって、娘を洞穴に寝かせ、自分は洞穴の外で寝た。

 翌日から娘は山を下りて父母を捜しに行き、夜になると帰って来た。こうしているうちに娘が仲大漢の妻になりたいと言うので、仲大漢も娘の生い立ちを深くも聞かず承諾した。娘は妻になると一層、仲大漢に尽くした、ある日の晩、妻が「あなたはどうして力があるの」と聞くと仲大漢は「俺は誰にも言わないできたが、お前には言おう、俺の力は七束の髪にあるのだ、だからこの七つの髪束を切れば力はなくなる」と言った。

 夜が明けると妻は泣きながらまた山を下りてあちこちと父母を捜したいと言いだし、妻は山を下りると仲大漢の秘密を知事に告げた。実は妻は知事の娘で知事がこの計略を考えたのだ、父と娘は相談して娘はまた山に帰った。そしてある晩、仲大漢が寝ている時に、娘はハサミで仲大漢の七つの髪を切り、そっと逃げた。仲大漢は七束の髪を切られて力を失い、とうとう知事に捕らえられ殺された。

        聊斉 * 子                                          1994・5・14

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