草王を鎮める
喬立と馬徳は同じ学塾で勉強していた。だが喬立は二年勉強すると家からの仕送りがなくなり、畑仕事をしながら僅かな金で暮らすようになった。
ある日、馬徳が喬立の畑仕事を助け、畑に朝飯を持って行ってやった、喬立はまだ鋤で畑を耕しているので、馬徳は朝飯の入った紅い器を畑のわきにおいた。喬立は畑を耕すと、鋤を畑のわきに突き立て、座って朝飯を食べようとすると、突き立てたはずの鋤がパタンと倒れ朝飯をいれた紅い器を割ってしまい飯が飛び散った。二人は仕方なく、少しばかり豆腐を食べてまた畑仕事をした。
その後、馬徳は官に就いたが喬立は相変わらず貧乏であった。
ある日、喬立は用事があって旅にでたが僅かな旅費も使い果たしてしまった。だが具合よく馬徳が官に就いた地方を通るので、郷里も学塾も同じだから幾らか貸してくれるだろうと馬徳を訪ねた。
馬徳の家に着いたが、門番が中に入れてくれない、喬立は「わたしと馬徳さんは一緒に勉強した仲です」と言うと門番は喬立を中に入れた。ちょうどこの時、馬徳は客と酒を飲んでいた、門番は「申しあげます、あなた様の学友が面会に参りました」と言うと、馬徳が顔を上げた、見ると喬立がボロボロな汚い服を着てたっている。「お前は誰だ、わしはお前を知らないが」と馬徳は言った。
喬立は心の中で何年か前、俺と一緒に畑を耕したのに、今になって知らないなんてと思ったが、そうは言わず、「あなた、われわれ二人で、草王の謀反を鎮めたのを忘れましたか、草王が乱を起こした時、鋤大王が倒れ、紅器県を打ち砕かれましたが、豆将軍にわれらの兵が救われたではないですか」と言った。馬徳はこれを聞き恥ずかしくなって顔を赤くし何も言わなかった。
聊斉 * 子 1994・5・7