二つのお天道さん
韓長者はいかつい顔をしていて、作男たちにはとてもむごい人である。広い土地と沢山のロバを持ち、穀物は山のように収穫する。十何人もの作男を雇い、鶏が鳴くとすぐ山に行って仕事をさせる。けれども朝食は昼近くまで働かせてから食べさせる、昼飯も午後おそく、いつも晩飯と一緒にして食べさせた。それで毎日昼まで働くと作男はお腹が空いてグウグウ鳴った。
ある時、土は固いし、日は照って暑いしで作男たちはお腹が空いて我慢できず、みんな一緒に山の畑から帰り「旦那、わしらも他人さまと同じ時に朝食を食べさせてください」と言った。すると韓長者は顔色を変え歯をむきだし「早く畑へ戻れ、お天道さんは二つあってわしらと他人とは同じじゃない」と言った。作男たちは畑へ帰ったが、お腹はすくし、癪にさわるしで、全身がだるく眩暈がした。韓長者も一緒に来て、手に扇を持ちあおぎながら、畑の周りを歩き「お前たち、早くしろ、もうすこしで飯が来るぞ」と言った。
昼近くなってやっと朝飯が来た。作男たちはご飯を見ると手も洗わず、話しもせず、ただ大きな口を開けて食べた。韓長者はそばに立って笑いながら「ハハハ、わしが言う二つ目のお天道さんで働けば、腹が空いていいだろう、何でもこの時に食べれば美味しいのだ」と言うと,ゆうゆうと帰って行った。作男たちが食べると大半のトウモロコシ饅頭は糠入りで腐ってグズグズで食べられない。作男たちはこんなでは病気になってしまうと思い、韓長者をこらしめてやろうと相談した。
麦の刈り取りが済んだある晩、雨が降ってきた。雨はしとしとと多くも少なくもなく降り、朝になって豆の種を蒔くのにちょうどよくなった、昼になって日に晒されると芽がでなくなってしまう、そこで韓長者は鶏が鳴くとすぐ作男たちを畑にやった。そのあと長者はまた横になって眠り昼になってやっと起き、食事をしてから扇を持って畑に行くと、どこの畑にも豆の種が一面に蒔かれていた。
ところが長者は自分の畑にはまだ蒔かれていないのでよく見ると作男たちはみんな畑の端で休んでいる。長者は怒って作男たちを指さし「お前たち死んでしまえ、少しも蒔いてないじゃないか、何をやってんだ」と怒鳴った、作男たちはみんな長者にはかまわず煙草を吸いながら座ったまま動かない、長者は腹の破けんばかりに怒って、周りを指さしながら「見てみろ、どこの畑も種が蒔いてあるぞ」と言った。
年取った作男が「旦那、他人さまはみんな朝飯が終わってから蒔いたんですよ、わしらも朝飯を食べてから蒔きますから同じですよ」と言うと韓長者は体をふるわして怒り扇で空をさしながら「もうすぐ昼ではないか」と言うとさっきの作男は慌てずに「わしらの二つ目のお天道さんはやっと朝になったとこですよ」と言った。韓長者は何も言えず畑にひっくり返ってしまった。
聊斉 * 子 1994・5・2