嫁が頑固な舅をやりこめる
滅茶苦茶なほらばかり吹く爺さんがいた。雄鶏が卵を生むとか、ラバが駿馬を生むとか、はっきり嘘とわかることを言っても、息子や嫁が逆らうと容赦しなかった。
誰にでもいいがかりをつけては、すぐほらを吹き、目を丸くして「嘴の黄色い青二才のくせに大人の話が聞けないのか、礼儀も常識もわからない馬鹿野郎め」と叱りつける。この爺さんの三男の嫁はこうした舅の態度が嫌いで、いつか舅の悪い癖をやりこめてやろうと思っていた。
ある日、爺さんの弟の二大爺さんが遊びにやって来た、爺さんは三男の嫁にお茶を入れさせ、嫁がお茶を持って行くと、舅は早速、二大爺さんにありもしない大きなほらを吹いていた。
「お前、まだ覚えているかい、まだわしの親爺の親爺がいて、わしが八つの時のことだ。ある朝、起きて見るとお天道さんが西から出てきたんだ、そしてこのあとお天道さんに大きな瘤ができた。わしはどうしてだろうと、夜昼、何年も考えてもわからなかったんだ」
二大爺さんはそんなことはないと言おうと思ったが、兄貴はすぐ怒るからと思い、馬鹿な人に言っても牛に琴を聞かせるようなもんだと、出かかった言葉をのみこみ、ついでに「お天道さんが寝ぼけていたんだろうさ」と言ってやった。
すると爺さんは「とんでもない、わしの親爺の親爺の話によれば、お天道さんは毎日、東から出て、西に沈むのにあきあきして、新しいことをしてやろうと西から出たんだ。ところが一日だけで天帝に知られ、怒った天帝は孫悟空に命じてお天道さんを捕まえさせ四十叩きの刑にした、その時できたのがお天道さんのあの瘤だっんだ」と出鱈目なことを言った。
そばにいた三男の嫁は舅のだらだらときりのないほらを聞いて呆れ「お義父さん、そんな作り話はやめた方がいいわ」と言った。
爺さんは嫁が人がいる前でそう言ったので大いに怒り「なんだと、余計なことを言ってわしの話の腰を折っるな、息子、お前の女房を引きずって行って、靴の底で踏みつけてやれ」と叫んだ。
三男の嫁は笑って「お義父さん、大きな声を出さないでくださいな、あの人はいません」 「何処へ行ったんだ」 「ここ二三日、北風が強くて、南の畑のきゅうりの支え棚が吹き倒されたので、つるはしを担いで北の大きな堀の風の根を削りに行きました」 「馬鹿言え、風は空からくるんだ、どうして地面に風の根っこがあるんだ」 「それなら、お義父さん、どうして口からでる話に腰があるんですか」 と三男の嫁が聞き返した。
二大爺さんは大笑いしたが、強情なほら吹き爺さんは口を閉ざして何も言わなかった。
薛天智故事選 1994・3・12