切符を換える
初めて汽車に乗ったお婆さんがいました。ある駅に着くと食べ物や飲み物を売っていましたので、ホ−ムに降りていろいろ買っていますと、汽車が出てしまいました。
お婆さんは慌てて駆け出しましたが間に合いません。駅員が走って来て事情を聞きますと、お婆さんは鼻をすすり、涙声で「わたしゃあ汽車から降りる時に、乗っている人はわたしが乗ったら走ると言ったのに、わたしがまだ買い終わらないうちに汽車が行ってしまった、わたしの荷物は汽車の中なのに、どうしょう」と言いました。
駅員が「お婆さん、慌てなくてもいいですよ、このつぎの列車に乗ればいいですよ。荷物は私がつぎの駅に電話しておきますから、つぎの駅でお婆さんの荷物を下ろして、お婆さんの乗ったつぎの汽車に乗せてお婆さんに渡しますから、大丈夫です」
お婆さんはそれを聞くと、泣きやんで「お前さん、汽車は速く走るのに電話はどうして汽車に追いつけるかね」と聞くと、駅員は笑って「お婆さん、電話は汽車よりずっと速いですよ、汽車が駅に着かないうちに、電話はいってしまいますよ」と言いました。
お婆さんはそれを聞くと嬉しそうに、ポッケトから列車の切符を出して「あんたさん、わたしゃあ汽車が一番速いと思っていたのに、汽車は電話より速くないのかね、あんた済みませんがこの汽車の切符を返すから、電話の切符をくださいな、幾らですか、わたしゃあ電話に乗って行きたいよ」と言いました。
撫順市巻下 1994・1・21