かあちゃんが和尚さんを抱く
若い夫婦とやっと片言が話せるようになった子供がいた。夫は遠くへ商売に行き、ある時は半年、時には三日、五日で帰ることもあり、商売のない時は何か月も家にいることもある。
今度は三、四か月で帰ってきた。その間に妻は疲れて一日寝ていたことがあり、それを見ていた子供は帰ってきた父親と一緒に寝た時「とうちゃん、とうちゃん、かあちゃんは和尚さん抱っこ、和尚さん抱っこ」と言った、「えっ、、かあちゃんが和尚を抱っこって」俺のいない時に妻は和尚と寝たのか、そんなみっともないことが外に漏れたら大変だ、俺は長い間、外で商売をする人間だ、そんなことでは一緒に暮らしていけないと、何も言わずに寝てしまった。
つぎの日、夫は手紙を書き、それを妻に持たせ「俺はもうお前はいらない、実家へ帰れ」と言った、妻が「どうしてあたしがいらないの」と聞くと「自分でわかっているのに、俺に言わせるのか、出ていけ」 「あんた何かわけがあるの」 「わけなぞない」妻がまだ何か言おうとすると、夫はパンパンと妻を叩き、むりやりに外に押しだしてしまった。妻は仕方なく、ともかく実家に帰るしかなかった。妻は実家に帰りわけを話すと、実家でも娘が不義をしたと家にいれてくれず「出ていけ」と言うので仕方なく親戚や友達の家に泊めてもらった。
夫は妻を出してから子供を抱いて寝た。ある晩、子供がまた「とうちゃん、とうちゃん、和尚さん抱っこ、和尚さん抱っこ」と言うので「和尚さんって何だ」と聞くと、子供は自分の膝小僧を撫で「これが和尚さん、これが和尚さん」と言った。
「えっ、これが和尚さん、どうしてこれが和尚さんなんだ」 「かあちゃんがここを抱っこして寝たよ」 「えっ」と夫は驚き、俺の留守に妻は一人寝の淋しさに自分の膝を抱いて寝ていたのかとはじめて気がついた。ああ、俺はどうしてはっきり聞かなかったのだ、子供が和尚を抱っこと言っただけで妻を叩き、いまはどうしているかわからないなんて、探しに行こう」
やっと妻を探して連れ戻すと、妻を抱きながら泣き「俺が間違っていた、子供が膝小僧を和尚さんと覚えて言ったのに、俺は本当にお前が和尚を抱いたと思ってしまった、これはみんな俺の罪だ、これからきっと改める」と言って二人はまたもとのさやにおさまった。
撫順市巻下 1994・1・14