隠した謎を暴く

 昔、二人の学生がいた、一人は貧乏人の息子で、一人は金持ちの息子であった。二人とも学問の成績はよく、結婚もしていたが金持ち学生の女房は貧乏学生の女房より器量はよくなかった。

 ある日、金持ち学生が「女房を取り替えようじゃあないか」と言った。貧乏学生は承知しなかったが、替わりに、「俺がお前に謎をだして、もしお前がその謎が解ければ俺は女房をお前に渡してもいい。だが解けなければお前は盆一杯の金を俺によこせ、立会人は先生がいい」と言った。こうして二人の相談はまとまった。

 翌日、金持ちの学生はそっと貧乏学生の家に行き、女房に「あんたはどうして食べるにも着るにも不自由な貧乏人の所にいるのだ、わたしの家は大金持ちで、欲しい物は何でもあるからずっといいよ」と誘惑し、貧乏学生の女房をその気にさせ自分の所に来ることを承知させてしまった。それから金持ち学生は「わたしと一緒になるなら、わたしが問題を解くのを手伝ってくれ、あいつから謎の答えを聞きだしてわたしに教えてくれ」と言った。

 そこで貧乏学生の女房は自分の亭主に「お前さん、どんな謎をだすのか、あたしに教えて」と聞いた、「お前、聞いてどうするのだ」と言ったが、女房がしつっこく聞くので貧乏学生は「重々畳々は何、ぱらぱらは何、黒いの白いのは何、両方とがってるのは何かという謎だ」 「答はなんなの」 「牛の糞、山羊の糞、鶏の糞、鼠の糞さ」と教えた。女房はこれを覚えて、そっと金持ち学生に教えた。

 三日目、先生に来て貰い、貧乏学生が「重々畳々、ぱらぱら、黒と白、両方とがる。これは何だ」と謎をだすと金持ち学生はとても早く「牛の糞、山羊の糞、鶏の糞、鼠の糞」と答えた。
 すると貧乏学生は「俺たちは学問をしているのだぞ、どうして先生の前でそんな品のない謎をだすものか」金持ち学生は別の答えを出すことも、お前の女房が俺に教えたのだとも言えないでいた。

 すると先生が「結局それはなんだね」と聞いた、貧乏学生は「重々畳々は一冊の経典、ぱらぱらは満天の星、黒と白は目、両方とがるは竿秤です」と言った。金持ち学生はすぐ「先生どうですか、先生は立ち会い人ですから」と言うと先生は「全くその通りだな」と言ったので、金持ち学生は負け、盆一杯の金を貧乏学生に取られた。

 貧乏学生が家に帰ると、女房は「あなたがあたしに言ったあの謎の答えは違っていたの」と聞いた、貧乏学生は女房に「お前は金持ちの家がいいのか。本当のことを話せ、お前はもうあいつの女房なんだろう」と言った。

         撫順市巻下                                          1994・1・4  

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