石ころ汁
昔、とても貧乏なお爺さんがいました。お爺さんは一日中杖をついて乞食をして歩きました。
ある日、お爺さんはお金持ちの家に行き、食べ物を下さいと頼みましたが、何もくれません。お爺さんはとてもお腹が空いていましたので、お金持ちに「食べ物が駄目なら、わしに物を貸してくれませんか」と言いました「なんだね」 「少しばかり煮物をしますので、お鍋を貸して下さい」 「お前さん、鍋なぞ借りてどうするんだね、鍋ならいいよ」お爺さんはお鍋を借りました。
お爺さんはあちこちから柴を集め火を起こしました。何処にお米があるのでしょうねぇ、オヤ、お爺さんは袋からいくつかの石ころをだして鍋の中にいれ、水で煮はじめました。お金持ちは驚いて「おいおい、石ころを煮たって腹がへるだけだろ」お爺さんは何も言わずしゃがんで火をたいています。しばらくして煮たってきました。お爺さんは独り言のように「この石はただの石じゃあない、ちょっと塩をいれると、さっぱりとしたいい味になるのだが」と言いました。
お金持ちはそんなこともあるかと考え「よし、少し塩を持ってきてやろう」と塩をお鍋にいれました「う−ん、油を少しいれると、もっと美味しいな」とお爺さん、お金持ちはまた油をいれました。お爺さんはまた石ころを煮つづけると、また「少し粉をいれると、もっと旨くなって、普通の汁と比べものにならないな」と言いました。
お金持ちがまた汁の中に粉をいれると汁はとろりとしました。お爺さんはまた言いました、「これで何か野菜をいれると、わしの汁はもういいな」 「あげよう」お金持ちは野菜も鍋の中にいれました。
汁はできあがりました、お爺さんはお金持ちに「あんたがまずひと口どうぞ」と言いました、お金持ちは食べてみました「う−ん、これは旨い」とたくさん食べました、お爺さんは汁を飲みおわると鍋から石ころをホイホイ取り出して袋にしまいました。お金持ちは石ころが美味しい味をだしたのだと思いこみ、「お前さん、その石をわたしにくれないかね」と言いました「それは駄目ですよ、幾らかお金をくれなくちゃあ、わしはこれで暮らしているんですからね」 「それならお金をだそう」 「いいですよ」お金持ちはお金をお爺さんに渡しました、お爺さんはお金を持って帰りました。
撫順市巻下 1993・12・30