泥棒がいる
夫婦二人の家があった。夫婦が夜、寝ていると泥棒が何か盗んでやろうと、この家の土塀に穴をあけ始めた。
その音に寝ていた夫婦が気づき、女房が亭主を揺り動かして「アレ、何か音がする」と言うと亭主は「何処かに鼠か猫がいるのだろう、寝よう」と寝てしまった。こうしているうちに泥棒は土塀に穴をこじあけ中に入って来た。
女房は泥棒の足音を聞いてすぐ「泥棒よ、泥棒よ」と言うと、亭主は「大騒ぎするな、何処に泥棒がいるんだ、寝ろ」と言った。
入って来た泥棒は何を盗んでやろうと、手を伸ばし周りを撫でたり、触ったりして、どうやら一つの瓢箪をみつけた、中に粟が入っている、心の中で「マアこんな物でも取ってやろう、盗みに入って手ぶらじゃあ、しょうがない」と思い、どうやって持っていこうかと考えてから、自分の大きなシャツを脱いで広げておいた、そこはちょうど亭主の寝ている隅であった。
泥棒はそれから探っておいた瓢箪を取っているうちに、亭主は「プウ、プウ」鼾をかき寝返りをうって泥棒のシャツを体にまきつけてしまった。
さて泥棒が瓢箪を取ってきて包もうとすると、自分の大きなシャツがない。
女房はまた「早く起きて、泥棒よ」と言うと、亭主は「何処に泥棒がいるんだ、寝よう」と言うと、そばで泥棒が「どうして泥棒がいないんだ、泥棒いなくて俺のシャツがくなるわけがない」と言った。
撫順市巻下 1993・12・29