男の産婆

 昔、山海関を出て東北に修業に行った男がいました。この男は修業に出たのに三年、何も習わずブラブラしていたので、家に帰って人が何を修業してきたのかと聞いたら、何と答えようかといろいろ考え、どうにかその言い方を考えつきました。

 そして家に帰ってから人に「何を修業してきたのですか」と聞かれると「三年間、たいしたこともしていません、人はみんなは真面目に習っていましたが、私の修業は駄目です」と答えました、それでも「何をやったんですか」と聞かれると「産婆です」と答えました。人々はこれを聞くと男の産婆なんていないと笑い、誰もこの男にお産を頼む人はいません、これは男にとってはかえって都合のいいことだったのです。

 何日もたたないうちに、この男の叔母が難産になり、何人もの産婆に頼みましたが、子供は生まれません。叔父は気をもんでいるうちに、ふと「わしの甥が東北で産婆の修業をしてきたんだ」と気がついて、すぐこの甥を訪ね「わしの女房が産気づいているのだが、子供が生まれそうで生まれない、すぐ来て診てくれ」と頼みました。男はこれを聞いてびっくり仰天、まさか本当にあるとは思っていなかったからです。男は叔父に「いや困ります、叔母さんは具合悪いですよ、女のお産婆さんを探して下さい」と言いました、「駄目なんだ、何人も頼んだがみんな駄目なんだ、お前は何年も修業したんだから、診てくれ」「私が診るのは恥ずかしいですよ」「そんなこと構わないから、診てくれ」男は仕方なく思い切って行くことにしました。

 男は叔父に「私のやり方はほかの人と違って面倒ですよ、五尺の赤い布を私と叔母さんに被せて、下に香をたく長い机をおいて下さい」と言いますと、叔父は「よし、急いで行ってくれ」と言いました。男は香炉の机を並べ、叔母に布を被せました。

 何人かの女の産婆は、この男が東北に行ってどんないい方法を学んで来たのかと思って見に来ました。男は三香をたき、饅頭を供え、跪いて口のなかで「お前は男の子かい、それとも女の子かい、早く出てきてお兄ちゃんとお饅頭を食べよう」とぶつぶつ言いました。男のこのぶつぶつで、叔母は我慢できずに笑い出し、いきんだとたんに、子供が生まれました。人々はこの産婆は本当に素晴らしいと言いました。  

 中国民間文学集成遼寧巻撫順市巻下            1993・12・27  1995・10・4校正                              

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