肉があれば命はいらない
ある男に仲のいい友達がいて、いつもわけへだてなく一緒に食事をしていた。この男は誰の家を訪ねても、きまって「何もいりませんよ、わたしは豆腐が好きで、豆腐があればそれでいいんです」と言った。それでもいろいろな料理を出そうとすると「いりません、いりません、豆腐でいいです」と言った。 長い間に、みんなこの男が豆腐好きだとわかり、男も自分から「豆腐はわたしの命なのです、だから豆腐を食べたいのです」と言っていた。 ある日、男は友達の家に行った、その時、友達は何をしていたか、ちょうど豚を料理していたのだ。男が来たのでは御馳走しないわけにはいかない。肉もよく煮えたがあいつは豆腐が好きだどうしょう、そうだ豆腐をきって肉の中にいれて煮てやろう。やがて料理ができて、酒も、ご飯も並べられ、飲んだり食べたり始めた。 ところが男は豆腐をとらず、肉ばかりとって食べている、その家の人が「あなたは豆腐が好きだったのではありませんか、豆腐はあなたの命だったのでは」と聞くと男は「わたしは肉があれば、命はいらなくなるのです」と言った。
中国民間文学集成遼寧巻撫順市巻下 1993・12・25 1995・10・4校正