二人のけちんぼう
二人の“けち”がいた。一人は自分で“千里のけち”と言い、もう一人は“天下のけち”と言っていた。
ある日、“千里のけち”は“天下のけち”を表敬訪問して自分とどっちが“けち”か試そうと思った。土産物を持って訪ねたいが、もったいない。そこで紙に一匹の魚を描いて提げて行った。来てみると、“天下のけち”は留守で息子がいた。“千里のけち”は名前を告げ、訪問のわけを話した。すると“天下のけち”の息子は丁寧に家の中に案内してくれたが、部屋に座っても、お茶も煙草もださない。ぶつぶつ言ったあと咳払いをすると、“天下のけち”の息子は「せっかくあなた様がおいで下さいましたのに、あいにく父は留守でお構いもできませんが」と言いながら、両手で丸を作り、「どうぞ、甘い餅を召し上がって下さい」と言って差し出した、“千里のけち”はこれを見ると、本当に名前の通りだ、息子がこんなに“けち”なら、“天下のけち”はもっとひどいだろうと、別れの挨拶をして家に帰った。
夜になって“天下のけち”が帰って来た、息子は“千里のけち”が訪ねて来たことを話し、自分がした“けち”を父親は満足して褒めると思ったのに、話が終わらないうちに、横っ面を殴られた。慌てて父親に聞くと“天下のけち”は「この野郎、何言ってるんだ」と言い、片手で半円を作り「お前はどうして半分の餅にしなかったんだ」と言った。
付記 撫順県の孟祥臣の語り、徐慶田の採録では<天下のけち>、新賓県の施張氏の語りでは<吝ちな人>であらすじは同じである。 前の一篇の<天下のけち>では息子が紙に餅を描いて客に出し、父親に平手打ちを食い、半分にすべきだと叱られ、つぎの客にはそうする。後の一篇では、息子が手振りで西瓜をだすと父親はもったいないと不満で「これから少し小さな手振りにしろ」と言う。
中国民間文学集成遼寧巻撫順市巻下 1993・12・25