病気になって死ね
若い怠け者がいた。働くことを考えるだけでもう頭が痛くなり、何時も雨が降って休めればいいと「天の神様、肉饅頭でも甘い饅頭でも何でも上げますから、どうか早く雨を降らして下さい」と祈った。だがカラリと晴れた天気が続いて雨は降らない。
そこで今度はじっと太陽を睨み「お日様、なんでこんなに照りつけるんです、俺を焼き焦がそうというのですか」などとブツブツ文句を言ってまた仕事をしない。 しかし、暑い日が続かなければ仕事をしなければならないから若い怠け者はまた考え直し、病気になれば休めて食べられると気がついて毎日病気になりたいと思っていた、ところが怠け者は年は若いし体も丈夫で病気にならない、そこでまた考えた。
怠け者は村の鎮守さまへ行って「天の神様、地の神様、一番有り難い村の鎮守さま、どうか俺を死なないように少し病気にして下さい」と祈った。すると「怠け者の恥知らず、願いの通り病気にして死なしてやる」と声がした、これを聞いて怠け者は村の鎮守さまが本当に現れたとびっくり仰天、逃げようとすると襟首を押さえられてしまった、怠け者は慌てて「鎮守さま、鎮守さま、怒らないで下さい、許して下さい」と叫んだ。
すると今度は聞き馴れた声で「わしはお前の怠け癖を払ってやる」と言うので振り返って見ると村の鎮守さまではなくて自分の父親であった。
薛天智故事選 1992・08・26 2001・06・13校正