<佐渡紀行>2000年
9月12日(火)
雨。それも台風接近にともなう強いやつ。そんな中での出発準備。予定通りの午後9時旅立ち。河野敏明・明美・初音・珠伎そして竹内直子。今回は「骨身を削る究極の格安プラン」採用により、愛車ルシーダでの強行軍となる。午後11時頃高松到着。ゆっくりとフェリー乗り場にて休憩。
9月13日(水)
0時30分高松東港発。4時10分神戸第3突堤着。相変わらず神戸市内の道の広さに戸惑いながら、名神高速西宮ICから高速運転。朝のラッシュ時までにできるだけ京阪神から遠ざからなければ、とひたすら進む。明・初・珠・直は、すやすやとお休み中だ。
昨日とはうってかわって晴天のなか、途中3度の休憩をはさんで、上越ICまでの約500kmの道のり。途中明ちゃんに1時間程運転代わってもらって仮眠したので、ずいぶん楽になった。直江津港近くでゆっくり昼食を食べてフェリーに乗り込む。ここで作務衣の上を食堂に忘れるというハプニングもあったが、ともあれ無事佐渡島の地を踏むこととなる。千絵子さんの、満面の笑顔のお迎え付きで。
和泉邸まで先導してもらう。到着してすぐに、ゾウ君の顔を見ることが出来るとは思わなかった。元気そうだ。胸板が厚くなっている。たくましさが、みなぎっている感じだ。感動の再会といえるだろう。
和泉邸も、なかなか感じがいい。昨日までの雨で少し湿気っていたが、将来こんなところに住みたいと思える、古い民家。ねずみと青大将の同居する、楽しそうな、仮の我が家。ムジナの来客もあるそうだ。
千絵子さんと一人娘のなっちゃんと一緒に夕食。初は疲れ気味で寝ていた。夜は鼓童の稽古場で、松浦の充と辻勝君に、みかぐら伝授。しんどかったが、場所が良かったのと、覚えがめちゃくちゃ良いのとで、面白い夜だった。
ビデオテープが無いのに気付き、仕方が無いので風呂に入った後、島内唯一?のコンビニへ。月がとてもきれいなので、気分はよかったが、何せ眠い。真野町までの片道30分決死のドライブだった。午前1時就寝。
9月14日(木)
7:00過ぎ起床、洗濯をして、朝食(コンビニおにぎりと味噌汁・目玉焼き等)食べて、9時からの稽古。千絵子さんが少し遅れるということで、、充っちゃんに用意してもらった手踊り大会のビデオを見ながら、ストレッチ。約40分後に千絵子さん登場。
基本的な手の動きと使い方、足運びをしてから、小原節を順番に。石川先生という、千絵子さんの師匠の言葉がそのまま伝わってくるような、丁寧でやさしく分かりやすい指導だった。しばらく進んでは自主練習、という繰り返しも、私にはリズムがすごくいい(明ちゃんも好調/直ちゃん少しずつ飽和状態に近づく)。横でストレッチや素振りをしている栄一さんに、初が太鼓の指導をしているのが目にうつる。オソレオオイ。
TV取材でオスマン・サンコンさんが来たので、少し早めに切り上げて昼食準備。当番制らしい。今日は「みねすとろーね」という食べ物だった。
午後も引き続き小原節。体力的に疲れた頃にビデオ確認という配分もすごくうれしい。
4時の時点で、何とか最後まで通すことが出来た。テープの音楽に合わせて、おさらい。
その後、これからの打ち合せをして、少しの間(なっちゃん=千絵子さんの娘が学校から帰るまで)手踊りの手ほどきを。少しの間、というのが1時間あまりという、一日中踊っていた身体には悲惨な時間だが、直・明とも必死で頑張る。(私はぐずぐず言う二人の娘を抱えてビデオ撮影に徹する)惜しげもなく時間と労力をつぎ込んでノウハウを教えてくれる千絵子さんに、どう感謝して良いか分からないほど。結局夕方6時頃まで、本当に手取り足取りの指導が続いた。宿まで車で送ってくれるというおまけ付き。
昼食の残りをいただいてそれで夕食を済ませ、今日は近くの健康保養センター「おぎの湯」へ。ゆったりつかって、露天風呂から海と月。これはめちゃくちゃ、美しい!!最高の景色のひとつだった。
さらに千絵子さんの計らいで、ビデオルームを借り、ECのサムルノリのビデオ鑑賞。おまけに全自動洗濯機も貸してもらう。眠い目ですばらしい韓国芸能を見てから、夜12時前に就寝。
9月15日(金)
7時起床。昨日の残りのご飯で朝食。午前中は金城さんのご指導。カチャーシの基本的な足運びと手の動き。ハイヤの動作と共通する部分が多々あり、納得の時間。思ったより楽しい時間だった。15分のフリーダンスも、やり応えあり。コーヒーブレイクの後は佐渡おけさの手ほどき。あの宇宙遊泳の謎が解けたような感じだった。簡単な構成すぎて、おけさ自体はあまりやった気がしない感じだったが、やはりやってよかったのではある。
昼から、両津市内のお祭り見学に。千絵子さん特製の、超巨大おにぎり持参。本当にあの人は良くしてくれる。が、久知河内の花笠踊りは、ひなびた田舎芸能で、面白いというものではなく、素朴で長々と続く(見ていると少し疲れた)ものだった。ぐるっと小佐渡を一周して、柿野浦の研修所を覗いた。重信町の、山ノ内小学校跡を思い出させるような、いい雰囲気(明ちゃん曰く「こんなとこイヤ」)の山奥の空間。いい環境だ。
午後5時に千絵子さんとなっちゃんを拾って、岩首の鬼太鼓を見学に。着くとすぐゾウ君に会う。研修生が街角でにぎやかしをやる。黒川さんさ、八丈、酒屋唄、そして彩。
さんさ踊りの、ゾウ君の動きの大きいこと。酒屋唄の、ゾウ君の声の大きくて張りのあること。彩の、桶胴ののびやかなこと。鼓太朗という環境の中でいた時と、今では全然状況が違う。たくましくも楽しげな姿を見て自然に涙が出てきた。この感情は、羨ましさなのか、うれしさなのか、くやしさなのか。たぶん、全部。
鬼太鼓も、良かった。見に来た甲斐があった。充分堪能した。でも切りがないので途中で帰る。夜11時前到着。
9月16日(土)
9時半から充・勝・玲の3人にみかぐらの続き。比較的主になって踊りはした。やはり覚えは良く、1時間余りで最後まで通した。特に、玲君が「お囃子の太鼓は、どうやるんですか」と聞いてから、全部ひととおり覚えるのに要した時間は、わずか15分間。もちろん時々間違いはするが、驚異的な速さだった。12時過ぎに、少しだけ岩首の鬼太鼓の手ほどきを受けた。もちろんこちらは驚異的どころか並みのスピードなので、身に入るには程遠かった。とりあえずビデオは撮ったけど。
昼から千絵子さんのレッスン。小原節の通しと扇子の使い方1番。思ったよりすっと身体に入った(明・直苦戦中)。練習の合間に必ず麦茶とコーヒーを用意してくれる。なんて快適な練習なんだろう、と思う。
夜は、千絵子さんとなっちゃん、金城さん夫婦と伎穂ちゃん、根岸さんが和泉邸にやってきて、宴会。酔いにまかせて調子に乗って、ベラベラしゃべってたような気もするけど、気にしないことにする。写真撮るのを忘れたのが、心残りですね。
9月17日(日)
宴会翌朝ということで、稽古は10時から。扇子の使い方2番3番。肉体的には筋肉痛に苦しみながらも、比較的楽になってきた。細かいところも修正しながら、曲に合わせての通し練習が主に。踊りはじめが、なかなかつかめない(明ちゃんが先につかんだようだ/直ちゃん苦戦中)昨日まで快晴だったが、今日は少し雨模様。
午後3時に羽茂町まで来ていたゾウ君を拾って、また鼓童村の稽古場まで。5時過ぎまで小原節の稽古に付き合わせた。ティーブレイクで話をして、研修の成果として鬼剣舞を踊ってもらう。すばらしい。岩崎の鬼剣舞を、初めてかっこいいと思った。ジーパンの上からでもはっきり分かる太ももの筋肉の鍛え方。あらためて、感動するとともに、今度は「マケルモノカ」という気持ちが強くなった。鬼剣舞において、私も引き下がるわけにはいかない。(と、強気でいなければ。)
今日は最後の夜ということで、夜の稽古もやる。昼からの続きで笠を使った踊りを加え、仕上げに入る。何とか身体にたたき込みたい一心で、ビデオ撮影を見学していた根岸さんに頼み、手順を繰り返し踊る。姿勢の悪さや、諸動作のキメの無さが課題に残るが、最後には何とか一人で通すことが出来た。達成感に浸れた瞬間だった(明ちゃんつながりが悪く不満そうだ/直ちゃんは不達成感に浸っていたらしい)。
もう少しねばってビデオ研究(小木おけさ・鼓童ステージ等)を夜中1時まで。天下の鼓童の本部に上がり込んで、ビデオルームを使い放題という、図々しくも幸運な機会を授かったのに、しまいには疲れに負けて、ビデオ見ながらウトウトと・・・
9月18日(月)
雨もあがって、また快晴。朝も早うから和泉邸のお片付け。ゴミ出し、冷蔵庫の整理、掃除機、洗濯、草引き、・・・。アルカリ性で泡立ちにくい水道水も、踏まずに歩くのは難しいほどの虫類も、油断すると足を突っ込む居間の囲炉裏も(直ちゃん実証)、冷凍卵を作ってしまう冷蔵庫も、すっかりなじんでしまった(私だけ?)。別れを惜しんで記念撮影。
自炊用に持ち込んだ食材が使い切れない程、鼓童の方達にたくさんの差し入れをいただいた。どうしてここまでしてくれるんだろうと、疑問に思うほどだった。「ありがとうございました」「お世話になりました」だけで帰っていいんだろうかと感じて、別れのあいさつが、気が重かった。
帰り道、千絵子さんの家に寄らさせてもらい、お茶をいただく。高い天井の、広い板間で小さなライブがひらける様な、パブリックスペース。様々な果樹が自然生育している広い庭。海から遠く本土まで見渡せる広い2階ベランダ。理想に近い作りの、素敵な家だった。おまけにここでもなっちゃんのお下がりをいっぱいもらうし、お土産をたくさんもらってしまった。本当に、どうやってお礼をしたらいいんだろう・・・
さらに、最後の最後に驚愕させたのは、フェリーでのお見送りだった。まさかと思ったが、「送り太鼓」ならぬ「送り踊り」を一人で踊ってくれた!他のお客さんも大喜び。しかも船が遠くなって見えなくなるまで(明ちゃんも視力をもってしても確認できなくなるまで)踊り続けていた!!!
本当になんて無邪気で、なんて親切で、なんて飾り気がなくて、なんてふところが深いんだろう!!普通これだけされると、嫌味に感じるくらい、なのにそんなことはかけらも感じないくらい、深さと温かさがある。
直江津へ向かうフェリーの中で、名残を惜しみながら、また長旅に向けて束の間の休息をとる。帰りの船は船内ステージ付きで、2年前この船がクルージングに使用され、花結のディナーライブが開かれたのを思い出した。また感動。
直江津の食堂で、作務衣の上着と再会した後、北陸道を一路西へ。東名西宮ICを降りるまで休憩は一度だけ。走りに走って、ダイヤモンドフェリー22時35分発に乗り込んだ。今治港に翌日5時15分、久しぶりの我が家には6時10分の到着。
これで全行程を終了し、日常生活に戻る。4回目の佐渡への旅。これから一生の内で何回行けるか分からないが、行く度に思いが強くなる。まさに
「佐渡へ佐渡へと 草木もなびくよ」