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96年春季霊祭のお話

                      教 会 長


 共々に春の霊祭を仕えさせていただきまして、霊様方もお喜びくだされておるものと信じております。私どものことを、いつも見守って導いてくださっております。なかなかそのことに思いが至りません。霊祭りを通して御礼を言う時間を持たせてもらいましたこと、ありがたいことだと思います。

 ◎地下鉄サリン事件から1年

 ちょうど1年前、東京で地下鉄サリン事件が起こりました。亡くなられた方もおられますし、たくさんの方が後遺症を引きずっておられます。あの後、地下鉄に乗れなくなった人もおられたようです。
 亡くなられた方のご冥福をお祈りさせてもらうと共に、遺された家族の方、被害に遭われた方、それぞれが立ち直って立ち行く道を歩まれますようお祈りするしだいであります。
 オウム真理教による事件で今も裁判が続いています。事件から1年を迎えるので、新聞にもいろいろと載っています。昨日の毎日新聞の夕刊に、岡田斗司夫さんの発言が載っていました。
「今日まで、個人の自由を優先されてきた。しかし、個人の自由を優先すると、危ないことになる。国家権力がしっかりしないといけない。個人の自由・幸せ最優先、誰にも迷惑をかけなければいいではないか、という個人主義が強かった。今後は、こうするべきだ、こうあるべきだという全体主義的な考え方が主流になってくるだろう」
 左右に揺れていくのが歴史です。私どもは何を基準に判断していったよいのでしょうか。

 ◎人間は何のために生まれるのか

 ノンフィクション作家の保坂さんが、次のようなことを話しておられます。
「生の意味と死の理解が混乱状態にある。生きる意味、死というものをどのように迎えたらよいのか、人間は何のために生まれ、死んでいくのか、個人のレベルで考えておかなければならない時代である」
 金光教祖は、「人間はみな、おかげの中に生かされて生きている。人間は、おかげの中に生まれ、おかげの中で生活をし、おかげの中に死んでいくのである」と教えておられます。当たり前の通りに生きるということは難しいのです。そのことを大切にしたいと願っています。
 日本人の75パーセントは病院で亡くなるそうです。死の看取りもできなくなって、死が身近でなくなっています。お医者さんに恵まれて、いろいろな条件が整えば、家で安らかに死を迎えることができます。現実は非常に難しくなっています。神様に最期までお願いさせてもらうことが大切なことです。

 ◎4年後には、死者は100万人

 「SOGI」という雑誌があります。編集者の碑文谷さんは次のように言われています。
「今年の死者は90万人台になる。4年後の21世紀には、100万人をこえ、そして40年経ったら、181万でのピークを迎えるだろう。寺院の費用や飲食接待費も入れた平均が200万円。今は社会的な付き合いの儀礼的な面が強いが、これからは小さな葬儀が予想される」
 個人の自由を求めてきた世代が、死者の中心になってきます。都会では、自分の家の宗派が分からないため、近くのお寺に葬儀を頼みに来たりするそうです。葬儀は社会的な儀礼と考えている人が増えてきています。

 ◎生きる迫力がなくなっている

 「葬送の自由をすすめる会」というのがあります。そのシンポジウムの記録が本になっています。山折哲雄さんが、「最近のお葬式はまことに迫力がありません。いちばんの責任は、お坊さんに葬式をすることの自信がないからだと思います」と話されています。
 私どももお祭りをするのはどういう意味なのか、分かっておりませんと、何となく亡くなって、いつの間にか葬儀も終わったということになります。最近は、その人の死によって、人生は完成すると言われています。

 金光教祖様の教えの中に、
「人間は、生まれる時に証文を書いてきているようなものである。生まれた時に、悔やみを言いに行ってもよいくらいのものである。どういう災難があるとか、こういう不幸があるとかいうことは、決まっているのである。神はよくご承知なのである。信心を強くすれば、大厄は小厄にしてくださり、小厄はお取り払いくださる。それが、おくり合わせをいただくということである」
 私どもの生命がいつどうなるか分からないということをご家族の死を通して、感じられていることを教えておられます。だからこそ、お互いに生命を大切にしなければならないのです。一人ひとりの生命が大切だと言いつつも、どうして大切なのか、納得できる説明はないように思います。本当に自分自身の生命が大切だと思っているのでしょうか。
 霊様に見守られて、ここまで来させてもらったように思います。神と人、人と人、人と物とが共に生きる世界を現していくことが大切です。朝晩の御礼とお願い、お断りを忘れないで、毎日の生活を楽しく過ごさせていただきたいと願っています。


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