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「経営改善へ:今週のヒント」  

改善/改革意識と風土を生む標準化

 標準化という考え方と手法は、品質向上や業務の効率化が取り上げ 
られる際には必ず顔を出すものです。製品や作業を標準化することに 
よって、不良率の低下、クレームの防止、リードタイムの短縮などを 
追究しようという訳です。                    

何種類もの型や仕様の中から、これが良いと判断されたものを標準品と
したり、何種類ものやり方の中から最も良いと判断された方法を標準 
作業としたりする訳ですから、標準化には品質や作業成果を一定レベル
以上に保証する力があることに間違いはないでしょう。       

 ところが、標準化は誤って受け止められている面もあります。標準で
決められたもの以外は使ってはいけない、標準で決められた方法以外は
認めない、といった類のものです。                

標準化され、決められていることは変えてはいけない、という考え方 
です。もっと良い設計が可能なことが判明しても、もっと良い方法が 
あると思われても、標準を変えてはいけないとの思い込みです。   

こうした思い込みから生まれるのは、標準化は自由な発想や気概を型に
嵌め込み、創造力を殺し、改善や改革の阻害要因になっている、という
考え方です。                          

 こうした受け止め方は明らかに誤解です。標準化こそが変革の意識と
風土の源となるのです。標準化された製品やプロセスがあるからこそ、
改善や改革の必要性に気付くことができるのです。今回はこうしたこと
についてお話を進めていきます。                 

流れにかかる紅葉

 先ずは、現場で実際にあったお話を2つほど挙げてみます。    

・A工場では、ムダ取りの推進のために指導員を招いて活動を始め  
 ました。活動がある程度進んだ段階で、活動推進管理者は指導員から
 通告を受けました。メンバーのレベルがこの活動を推進できるまでに
 至っていない、まずはメンバーの改善意識と改善に対する風土を  
 育てるような作業の仕組みと体制を作る必要があると。      

・B社は標準化を改善活動の中心に置いています。活動推進の管理者は
 自社の標準化にある程度の自信を持っていました。この路線に沿って
 更に標準化を進めていけば、改善の成果は上がると思っていました。

 ところが、あるコンサルタントの意見を聴いてみたところ、このまま
 では活動は停滞していくだろうとのことでした。その理由は、製品の
 標準化にばかり意識が向いていて、業務プロセスの標準化には誰も 
 意識を向けていない、このままでは改善の意識と風土が養われず、 
 改善活動は停滞するだろう、というものでした。         

 この2つのお話に共通しているものは、改善の意識と風土を作る  
必要があるということです。1つ目のお話では、作業の仕組みと体制を
作ることと表現されています。2つ目のお話では、業務プロセスの  
標準化に意識を向けることと表現されています。          

この2つのお話の結論は、作業の標準化を進め、作業標準を徹底的に 
守らせることに決着します。この決着は、改善に必要な創造力や発想を
殺してしまうもののように見えますが、そうではありません。    

 作業標準を決め、これを徹底的に守らせると何が起るでしょうか。 
いくら緻密にかつ網羅的に作られた作業標準でも完全なものはありま 
せん。今の世の中では変化が常態化していますので、完全に近いと  
思われた作業標準でもカバーできないものが出現したりします。   

こうした状況下で起ることの一つは、この作業標準ではうまく仕事が 
運べない現実が見えてくることです。またもう一つは、作業標準を  
徹底的に守ることを通して違和感が顕在化し、もっと別のやり方を工夫
したほうがよいのではないかという想いが湧き上がってくることです。

このようなことが起りますと、関係している人たちには、もっと   
効果的で効率的な方法に変えることが必要だとの想いが強くなります。
即ち、改善意識が生まれるのです。                

このようにして生まれた改善意識が、関係者全体のものとなっていき 
ますと、常に改善を指向する組織風土が養われることになります。  
こうしたことが基盤になってこそ、成果の出る改善活動が可能になり、
その中で、作業標準や製品の標準が改められたり、より効用の高い  
新しい標準が制定されたりもします。               
A工場にもB社にも、こういったことが求められていたのです。   

 改善の意識と組織風土は、作業標準を定め、これを徹底的に守らせる
という簡潔明瞭な活動の中で醸成されるのです。これが通用するのは 
製造現場だけではありません。ホワイトカラー職場にも当てはまるもの
だと言えます。                         

広く知られているトヨタウェイは、こうした活動の積み重ねを通して 
確立されてきたのです。この実績が、このような活動の効用を現実的に
証明していると思います。                    


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