ふうちゃんの場合・2

 その後半年が経ち、2歳9ヶ月を過ぎた2000年の3月頃、ママとふうちゃんはまたその眼科を訪れました。

 その半年の間にふうちゃんは色々なことが良くわかるようになり、単語も一つ二つでるようになっていましたが、視力の検査という点では相変わらずでした。 かえって物事が良くわかるようになったせいで、検査技師さんを大嫌いになり顔を見ただけで泣くのですが、検査技師さんは「これ以上嫌われたら困るから」とふうちゃんが泣くとすぐ検査を止めてしまいます。春休みだったせいもあり、普段に輪をかけて混んでいた眼科で2時間近く待たされた上に、検査は1分で終了、結果が出ず、ということが何度も続きました。

 ある日、ふうちゃんが混雑している待合室で大声でぐずっていると、「今泣いているのは誰ですか、ちょっと来て下さい」と看護婦さんに呼ばれました。医師のところに案内されると、医師は「今日は混んでいて、あなたの順番はまだまだだから、今日はもう帰りなさい」と言ったのでした。
 確かに混雑していました。ふうちゃんのグズリ声を不愉快に思う人も多かったとは思います。でもその時点で既に受付を済ませてから1時間半が経過していました。
 「でも先生、もう来てから一時間半過ぎています。帰れとおっしゃるんなら、もっと早く言っていただきたかったです。ここまで待ったんですから検査と診察を受けて帰りたいです」と言うと、先生はいかにも不機嫌そうに「あーそう。じゃあ検査受けてみなさいよ。そんな状態でできるのならね」と言ったのでした。

 その後検査室に行くと、いつも通りふうちゃんは泣き叫び、検査は1分で中止になりました。
 確かに健常児なら難なく終わる検査かもしれません。でも、敢えて有名な小児眼科に来ているのは(そこが割と近かったせいもあるけど)障害児でもきちんと診察できる技量を持っていると信頼したからだったのに。
 私もさすがにキレて「大学病院へ紹介状をお願いします」と言ったのでした。

 後日、紹介状を持参した大学病院の小児科医が苦笑しながら私に紹介状の内容を見せてくれました(何度も何度も大学病院に通っているので親しかったのです)。そこには、これまでの経緯とともに「母子ともに検査に非協力的な態度」と書かれていました。