もの寂しい春(2000.4)

 長い冬と、空前の花粉量に苦しんだ季節がやっと終わって、ようやく暖かい春がやってきました。

 うちのマンションの前には遊歩道があり、桜並木が続いています。
青葉の季節には、ふうちゃんと二人で歩きながら、『赤毛のアン』が名付けた“恋人たちの小径”ってきっとこんな感じの可愛らしい散歩道なんだろうな、なんて思いを巡らせたりしているのですが、その桜並木にもたわわに美しい花がつきました。なんか「咲いている」っていうより「実っている」と言う方がぴったりくる位賑やかに春を運んで来てくれたんです。
 怪獣プータゴンは、といえば桜の花などは全く興味がなく、花びらを持たせても何の感慨もないようなのですが・・・。

 先日、満開の桜の下を通ってふうちゃんと散歩していたときのこと。
「こんにちは」と声を掛けられました。ふうちゃん位の小さな女の子とベビーカーに寝ている赤ちゃんを連れたお母さん。誰だったかな???と考えながら会釈したら、にっこりしながら通り過ぎて行かれました。

 あっ!思い出した。
 ふうちゃんが生まれる前、母親学級で一緒だった人。
 みんなの赤ちゃんが生まれてから、近くに住んでいた人で集まって、一度お食事したっけ。最後に会ったのはもう2年以上前のことです。

 あの子、お姉ちゃんになったんだ・・・

 同じマンションでふうちゃんと同じ月に生まれた男の子も、昨秋お兄ちゃんになりました。
 あれ?ちょっと寂しい。心の中をちょっと冷たい風が撫でていくような、そんな感じ。何故?

 私は昔は子供が苦手な方で、ふうちゃんが生まれた今でもあまり子供が好きではありません。ふうちゃんのことは可愛いと思うけど・・・。
 パパと「二人目どうする?」なんて会話をときどきしたりするけど、拒否反応を示すのはむしろ私の方。
 なのに、ちょっと寂しい。

 ・・・それは置いてけぼりを食ったような気がするから。
二人目が今欲しいわけじゃない。ふうちゃんが生まれて以来、ずっとふうちゃんのこと以外考えられないで来た我が家とえらい違いだなあ、って思い知らされるのが寂しいだけだ。
 嫉妬?ううん、嫉妬とは違う。
 ただ、もの寂しいだけ。

 きっとこの先、こんな思いをたくさんしていくんだろうなあ。

 上を見上げたら、桜の花びらがひらひらと舞い落ちてきました。