♪障害児が保育園に入るには♪

 保育園のページを読んでくださった、発達の遅れたお子さんをお持ちの保護者の方から、「保育園に入園申請をしたけど、却下されてしまった」と相談のメールをいただくことがあります。
 そこで、このページでは障害児の保育園の入り方について、私なりの考えを書いてみようと思います。

 保育園の入園についての規定は、住んでいる自治体によって様々のようです。ただ、どの自治体でもまず絶対条件としているのは、“保育に欠ける理由があること”です。
 “保育に欠ける”とは、日中、子供の世話ができる人が誰もいない状態のことです。共働きであったり、病気であったり、誰か他に介護しなければならない人がいたりする場合がこれに当たります。
 保育園は厚生労働省管轄の福祉施設で(ちなみに幼稚園は文部科学省管轄の教育施設)、“保育に欠ける”児童を預かって保育するのがそもそもの目的です。
 ですから子供を認可保育園に入れたい場合は、“保育に欠ける理由”を証明して自治体の保育課に入園申請をし、“措置”されなければなりません。
 中には「障害児の場合、“保育に欠ける理由”がなくても保育園に入園できる」というような素晴らしい(笑)自治体もあるようですが、やはり大都市など入園待機児童(入園申請をしているが、定員いっぱいのため入園できずに空席待ちしている児童のこと)が数多くいるところはそうはいきません。前のページでも書きましたが、“学年枠”と“障害児枠”の両方をクリアしなければいけないので、健常児よりも障害児の方が入園のハードルが高い自治体の方が多いのです。

 ・・・と、ここまでは本などにも書いてある“一般論”の話です。
 私は、障害児が保育園に入るためにはいくつか注意すべき点があると思っています。

1.保育園の見学で決して言ってはいけない言葉がある。

 入園申請に当たり、目星をつけた(通いやすい)保育園に見学にいきますよね。どこの園でも事前に電話しておけば園長先生や主任の先生が親切に案内してくれます。30分くらい一緒に園内を見学するので、つい色々聞かれないことまでも喋ってしまいがちです。
 でも、決して言ってはいけない言葉があると思います。それは、

「健常児から刺激をたくさん受けるために、保育園に入れたい」

という言葉です。
 保育園に入園できず“待機”になってしまった方とメールをやりとりしていると、ほとんどの方が見学の時にこの言葉を発してしまっているんですよね。。。
 この言葉は、障害児の親の本音ですよね。療育センターなどの通園施設では、先生たちが普通に「健常児からの刺激は違うよ〜」なんて話をします。我が家だって、私が働きたいということよりもまずふうちゃん自身のために、保育園を希望したんです。
 ・・・でも。保育園は“障害児に健常児からの刺激を与えるための施設”ではありません。“保育に欠ける児童を預かるための施設”です。その意味で療育センターとも存在意義は全然違います。
 療育センターの先生も保育園の先生も、同じ自治体の「公務員」であり、同じ「保育士」という資格を持っている。保育園と療育センターで人事交流のある場合も多いです。療育センターの先生はとても優しくて、障害児の親の気持ちを良くわかってくれて、何でも話せた。だから保育園の先生も同じだろう、と考えてしまうのは大きな落とし穴なのではないかと思います。
 保育園は当然、健常児の保育が中心です。そこに障害児を“統合”させるので、決して療育センターのように障害児を中心に考えてはくれません。そして、保育園の最も重要な使命である「児童の生命を預かる」という観点からは、健常児と比較して「指示が通らない、意志の疎通がしづらい、行動統制が取りづらい、集団行動ができない、思いがけない行動をする」というような問題を抱えた障害児は客観的に見て“手のかかる、やっかいな”存在であることは否定できません。もちろん保育園はお役所ですからそんなこと絶対に言わず「どの子も同じ子供です」と優等生的な回答をしますけど、本音は全然違うのです。
 もともと障害児の受け入れに(内心)否定的なところに、見学に行った保護者が「(保育に欠けて困っているわけではなく)この子に刺激を与えるために保育園に入れたい」というような言葉を言ってしまったらどうでしょう。「保育園は障害児に刺激を与えるためにあるのではありません。保育に欠ける児童を預かるためにあるのです。他にも保育に欠けて困っている状況の親御さんはたくさんいらっしゃるのですから、そちらを優先させるべきですね」と考えられてしまっても仕方ないような気がします。
 「はじめての保育園」(保育園を考える親の会・編、主婦と生活社・刊)は、健常児の預け方について書かれている本ですが、大都市などの“激戦区”では、自由業などできちんとした就業証明が出しにくい人は、保育課を説得するために、もし子供が保育園に入れず仕事が出来ないといかに困るかを切々と手紙に綴るなどの努力をしているそうです。
定員が限られている中、「保育に欠けてとても困っている」ことをアピールする人と、「保育に欠けるわけではないけど、子供に刺激を与えたい」と言っている人と、どちらが優先されるかは明らかですよね。
 ですから、保育園や保育課には絶対に本音は言わず、いかに自分が保育に欠ける状況にあるか、をアピールすべきです。私の場合は「ふうちゃんを生んでからもずっとフルタイムで働いていた。障害がわかってやむなく仕事を辞めることになったが、働きたいという意志はずっと持ち続けていた。今回、ふうちゃんのことを理解してもらえる職場と巡り会えたので、この機会を絶対に逃したくない」とお話しました。これはもちろん全部本当のことです。・・・ただひとつ、「それよりも何よりふうちゃんに健常児からの刺激を与えて、集団生活を経験させたいんです」ということを言わなかった以外は(笑)。

 ちなみに、我が家の住んでいる自治体の保育園の先生は「私たち(保育園)に子供を選ぶ権利はありません。審査をして決定するのは保育課ですから」と言います。つまり、見学と入園審査は全く別モノ、という建前を取っているわけです。
 ところが何故か“障害児枠を希望する児童のみ事前見学は必須”という決まりがあります。健常児は必須でないのに障害児は必須とされているということは、保育園が事前に障害児の状況を見て、受け入れ可能かどうか判断するためっぽいですよね。もし保育園が受け入れできない、と判断したら、保育課の入園審査で入れなかったということにしてしまえばいい・・・という。
 それは邪推かもしれませんが、少なくとも保育園(現場)と保育課(本部)には密接な関係があって、見学時に保育園に良い印象を残せると(もちろんその保育園に入れると限ったわけではありませんが)審査に於いてもだいぶ違ってくるのではないか、と思うのです。

2.入園申請の前に就業証明をゲットしておく。

 もう一つ、メールをやり取りしていて“求職中”のまま入園申請する方が多いのに驚いた覚えがあります。
 確かに入園申請は“求職中”でもできます。でも、当然その時点で就業している人よりはるかに優先順位は低くなってしまいます。保育園の定員に空きがあるような地域ではそれでもいいでしょうが、待機児童がたくさんいるような地域では“求職中”なんてまず相手にされないと思っていいです。
 だから、頑張って就業証明をゲットしましょう。入園申請の書類に、優先順位の点数の付け方(週○時間以上は×点、週△時間以上は□点、など)が載っているはずです。それを見て自分の時間の許す範囲でなるべく高い点数が取れるような仕事を見つけるといいです。
 仕事はハッキリ言って、何でもいいと思います。スーパーやコンビニでも、ファーストフードでも。本当にやりたい仕事は子供を保育園に入れてから余裕を持って探せばいいのです。
 こんなこと書いたら怒られそうですが(怒らないでね)、

 保育園って一度入園してしまえば、こっちのもの

なんですよね。もちろん“保育に欠ける理由”がなくなった時は退園せざるを得なくなりますが、“保育に欠ける理由”が続いている以上、転職しようが勤務状況が変わろうが追い出されることはありません。ですから、開き直って“保育園に入れるための仕事”を見つけてしまった方が“求職中”よりはるかにオトクなのです。
 “求職中”で入園できたとしても数ヶ月以内に仕事を見つけて就業証明が取れなければ、退園になってしまいます。うちの住んでいる自治体の場合は2ヶ月以内なのですが、2ヶ月なんてアッという間です。その意味でも先に就業証明を取っておいて、働きながらゆっくりやりたい仕事を探した方が精神的に焦らずに済むかもしれません。

 本当はあといくつかあるのですが、だんだんヤバくなってきたので止めます(笑)。医療的ケアを必要とするお子さんの場合はやはりまだ色々ハードルも多いようですが、そうでない場合は上記2点に注意して運動すれば、きっと保育園の門は開くような気がします。
 我が家も色々経験しましたが、療育センターは“温室”のようなものです。先生方は優しくて、障害が重かろうが分け隔てなく子供を暖かく迎えてくれます。お母さんの相談にもたっぷり時間を割いて乗ってくれるし、愚痴も聞いてくれます。
これと比較すると、保育園は“一般社会”です。療育センターと人事交流があったり、研修制度もあるところが多いので、園長先生も保育士さんも若干は障害児について普通の人よりは理解があるかもしれませんが、いざ自分たちが保育の当事者となった時に暖かく迎えてくれるかは、個人個人の資質にかかっているといっても過言ではないと思います。ですから、“温室”を出て保育園に行くときはオーバーなどを羽織ってきちんと身構えて行った方がいいです。

 保育園に入園希望の障害を持つお子さんが、みんな保育園に入って楽しく過ごせますように・・・。頑張ってくださいね。