インフォームドコンセント・1

 入院後、カテーテル検査担当のA先生から、検査についての詳細な説明がありました。

 「お父さんと二人揃っている時の方がいいんで、いついらっしゃるか教えて下さい」「検査前は来ません」「・・・・・(絶句)、じゃあふうちゃんが寝たら教えて下さい。今日説明してしまいましょう」
 ということで、入院当日にママ一人で検査説明を受けることになったわけです。

 パパの名誉のために書いておくと、パパの会社が今年よその会社と“統合”することになったため、パパは毎日午前様の生活なのです。私たちは普段はメールで「いつ帰る?」とかやりとりしているのですが、「定時に帰ります」と書いてあるとき、それは23時を意味します。でも最近は“定時”に帰れることなどめったにありません。ひどいときは深夜バスで1時を回ることも。そんなパパに「会いに来て」とは言えません。
 それに、ふうちゃんも、普段から日曜日が終わると次パパと会えるのはその週の土曜日なので、平日パパと会えないから寂しいとはあんまり思っていないのです(「パパ来週も来てね」の世界です)。

 ふうちゃんが昼寝に入ったので、一緒に来てくれたおばあちゃんにお願いして、先生のところへ。小児病棟内にある面談室に通されました。
 余談になりますが、この面談室って、ベニヤ板みたいなので囲ってあって、すごーく安普請なんです。外からの声もけっこう聞こえるしね。ふうちゃんがまだ赤ちゃんの頃、風邪をこじらせて心筋炎になって入院した時も、病状の説明や輸血の説明なんかを受けるときはいつもこの面談室を使ってました。今回は検査だからそんなに重い気分ではないので良かったけど、中にはとっても辛い説明を聞くケースもあるはず。もうちょっとさー、雰囲気だけでも明るくした方がいいのに、とか思ってしまうママでした (^_^)。

 先生は実際に使うカテーテルの管を見せながらわかりやすく説明してくださいました。カテーテルの管は直径2ミリくらいだったでしょうか。管を通す血管の方はというと、鉛筆と同じかもう少し細いくらい。ちょっとビビりますが、ふうちゃんよりもっと血管の細い赤ちゃんでもこなしている検査なのだそうです。
 以下は私が理解したことで、間違っている可能性もありますが、とりあえず書いてみます(もし間違っているところがありましたらご指摘下さると嬉しいです。)

 

●今回行うカテーテル検査は左心房と右心房の間に空いている穴の状況をより詳しく知るのが目的であること。
●やり方を簡単に言うと、右足の付け根を少し(これはあとで傷を見たらほんとに“少し”で、5ミリくらいでした)切って、そこから大静脈にカテーテルを入れ、心臓まで運ぶ。<やり方については他にもいろいろ説明があったが、技術的なことなので省略>
●全身に酸素を配達して回って酸素が少なくなった血液の戻ってくる場所である、
右心房の血液の酸素飽和量と、左心房と右心房の血圧の差を調べれば、肺から新たに酸素を取り込んで元気になった血液が入る場所である左心房からどのくらい血液が右心房の方に流れ込んでいるかわかる。
●カテーテル検査は現在では極めて安全に行われており、担当のA先生も何百例と行ってきている。ただ、全身麻酔をかけるし、大静脈に針を刺してカテーテルを入れるので危険が全くないとは言えない。考えられる危険として大きくは下記の4つがある。

★太い静脈に針を刺すことによる出血に関する危険
★同様に静脈からの細菌感染についての危険
★カテーテル検査を行うことにより血栓(血の固まり)が出来てしまう可能性についての危険
★カテーテルを心臓に入れた時にカテーテルの先が心臓の壁等に当たって不整脈を生じる可能性についての危険

 現在、上から三つに関しては十分改善されているのでほとんど心配なし。
●現在最も心配なのは、一番下の不整脈である。心筋細胞は刺激に対して非常に敏感であること。また他からの刺激が加わると自己の収縮をやめてしまう場合があること。そして潜在的にその患者が持っていた不整脈が、刺激によって現れることがあること。
 これに関しては抗不整脈剤を用意して万全を期すこと、不整脈が現れたら速やかに検査を中止して、正常な脈に戻るのをしばらく待ってから検査を再開することで対応する。
●麻酔に関しては麻酔科の先生からまた別に説明がある。

参考:A先生からいただいた<心カテ前診断>という用紙
ふうちゃんの入院している大学病院発行のもの

      

 説明後、「なにかご質問はありますか」と聞かれたので、二つ質問をしました。 一つは、以前にある方から聞いた、カテーテル検査によって知的に問題が出たケース(ふうちゃんの病院でではないのですが)について。
 先生の推測では、多分上記危険性の3番目の血栓が脳に行ってしまったためではないか、とのことでした。
 二つ目は、何故心房中隔欠損症は他の心臓病と違ってほとんど症状が出ないのに、早いうちに手術を行わなければならないのかについて。
 自覚症状は出ていないけれど、穴が空いていることによってやはり心臓には負担が相当かかっているのだそうです。そして、心房中隔欠損症の場合、穴の空いていない状態と比較してより多くの血液(左心房から穴を通って右心房に流れ込んだ血液の分だけ多くの血液が右心房にあることになるため)が肺に送られることになるので、それだけ肺の血管に負担がかかっており、肺の血圧も通常より高い状態にあります。それが、自覚症状の出始める30歳後半等になってから手術をしても、もう血圧を下げることができないのだそうです。
 先生は血管をホースに例えて説明しました。新しいホースはゴムがしっかりしているので、ホースの容量より多い水が流されてホースが膨らんでしまっても、水がホースの容量以下の量で流れるようになればもとの形に戻る。でも使い込まれたホースはゴムが弛んでしまっているので、その時点でホースの容量以下の量で水が流れるようにしてももう元の形には戻らない。だからホースが新しいうちに水の量を調節しなければならないのだそうです。そして、手術が遅ければ遅いほど、ホースの形の戻りが悪くなってしまう(時間がかかる)ということです。小学校入学までに手術すれば普通は問題ないそうですが、ふうちゃんはこれまでの検査から穴がかなり大きいということがわかっているので、できるだけ早い方が望ましいでしょう、とのことでした。

 その後同意書を渡され、署名・捺印をしました。あ、そうそう、入院するときは印鑑忘れてはだめですね。私は忘れてしまったので、パパに泣きついて深夜に実家に届けてもらい、翌日おばあちゃんから受け取るというリレーをしました。ま、売店で三文判なら売っているんですけどね。

 また、翌日麻酔科の先生から麻酔についての説明がありました。
 これについては次のページに譲ります。