「作品第肆」

川面(かわづら)に春の光はまぶしく溢れ
そよ風が吹けば光たちの鬼ごっこ
葦の葉のささやき 葦の葉のささやき
行行子(よしきり)は鳴く
行行子の舌にも春のひかり

土堤(どてい)の下のうまごやしの原に
自分の顔は両掌のなかに
ふりそそぐ春の光に
却って物憂く眺めていた
ふりそそぐ春の光に
却って物憂く眺めていた

少女たちはうまごやしの花を摘んでは
巧みな手さばきで花環をつくる
それをなはにして縄跳びをする
花環が圓を描くとそのなかに富士がはひる
その度に富士は近づき とほくに座る

耳には行行子
頬にはひかり