「くずかご」
Column
ごみみたいなショートコラム(^^;)



「ZARD『グロリアスマインド』に思う」(主観度100%)


2007年5月27日。ZARD:坂井泉水さんの命日だ。享年40歳。早いもので、もう2年以上経ってしまった。時の流れというものは実に残酷だ。
2008年、2009年と、彼女の命日付近に1時間枠で追悼特番が放映されたが、来年以降はどうなのだろう。恐らくないと考える。ファンとしてはそうやって忘れられるのは残念だと思う反面、そろそろ商売に利用する事を止めて、商売名の「坂井泉水」ではなく素顔の「蒲池幸子」として安眠させてやって欲しいとも思う。

さて、表題の件。
「グロリアスマインド」は、ZARD43枚目のシングルで、坂井さんの遺作である。(正確には、彼女の没後に発売されたため、42枚目のシングル「ハートに火をつけて」が正式な遺作となるのだが。)
この曲については、当初(今でも?)ファンの間で評価が真っ二つに分かれている。評価と言うよりは、この曲を世に出した所属レコード会社:B-Gram RECORDS(ビーイング)の姿勢に対する気持ちと言った方がいいのかも知れない。
その反応は、以下の2つに大分される。

・亡くなる直前まで精力的に制作していた曲だから、聴ける事が嬉しい。(肯定派)
・完成度が低いデモテープレベルの曲を世に出す事は故人の本意ではないはず。(否定派)

どちらの言い分も理解出来るし、どちらもファンだからこそ出る意見だろう。
この曲は、確かに完成度が低い。歌詞はサビ部分以外の大半が英単語を並べた仮詞で、まだ全く発表の段階にはない代物だ。レコーディングに関しても、収録はたったの1回、それも一発録りきりと聞いている。総合的完成度は20%行くかどうかというもので、『普通の状態』ならば、彼女自身が発表を止めるだろう。というより、こんな段階でレコーディングをするとも思えない。
しかし、あくまで憶測ではあるが、彼女はこの曲に関してだけは特別に「完成度は度外視して世に残す」事を最優先したのではないだろうか。

広く知られる通り、彼女は2006年から癌で闘病中であった。最初に子宮頸癌を患って、子宮を失った。よく言われている事ではあるが、彼女は自分の「女性」を強く感じながらその想い・感性を詞に託していたという。その彼女が、いや、女性が子宮を失う事はどんな想いなのか、想像するのもおこがましい。
それでも歌手としての矜持を持って一度は復帰したものの、すぐに肺への転移で再入院。歌手、特にその肺活量で圧倒的な声量を誇っていた彼女にとって、肺を蝕まれる事は精神的な死刑宣告に近いものがあったのではないだろうか。若い事が逆に災いし、進行は早かったらしい。抗癌剤治療は割合良好だったらしいが、それでも「最悪の事態」は考えないはずがない。

この曲は、そんな状況下でレコーディングされた。癌による衰弱は激しかったらしく、お母様とともにスタジオブースに入り、身体を支えて貰いながらのレコーディングであったと聞く。その日は手術前日だったという噂も聞いたが、未確認である。

つまり、この曲(のレコーディング)は、彼女にとって最悪の事態に備えた「保険」だったという気がする。完成度がどうであれ、まだ声が出せるうちにとりあえずレコーディングしておく。そして治療に専念する。回復する事が出来たら、「保険」は捨ててこれまでのスタイルで完璧を目指せばいい。
とにかく、何がどうあっても残せるうちに残したい、残しておきたい…といった。
誠に残念ながら、彼女が二度とスタジオに戻ってくる事はなく、彼女が掛けた「保険」は意味を持つ事になってしまったのだが…。

長々と書き連ねたが、個人的意見として、この曲「グロリアスマインド」は、「保険」ではあっても「極めて特別な保険」なのだと思う。この曲は、彼女が最期まで歌手として戦った証であり、プライドやポリシーを棚上げにしてまで見せた執念であり、願わくば次に繋げたいという希望であり…色々なものがパンパンに詰まった、一種の「碑」であったのだと思う。

だから、個人的には、この曲が世に出て、聴く事が出来て、彼女が最期に残した「碑」に触れる事が出来て良かったのだと信じたい。
この曲を聴くと、完成度の低さなどどうでもよくなる、訴えにも似た強い想いが聞こえてくる。発売から2年近く、覚えるほど聴いたが、今でも聴く度に様々な思いを巡らせている。
彼女ももちろん、出来に関しては当然「これでよし」とはしていないだろう。が、命あるうちに出来る事を精一杯やったという事に関しては「よし」としていると信じたいし、そうでなければ浮かばれないのではないだろうか…。


結論:今となっては真相は知る由もない。
が、こうなってしまった以上、彼女も我々もこれでよかったのだと信じたい。



注)当コラムの内容についての賛同・共感等は喜んでお受けしますが、抗議・苦情等は一切受け付けません。何せ「くずかご」ですので、ね(^_-)。


予告:(未定です(^^;))