Rock Odyssey 2004
Set List
I Can't Explain Encore Pinball Wizard
Substitute
Anyway Anyhow Anywhere
Baba O'Riley
Behind Blue Eyes
Real Good Looking Boy
Who Are You
5.15
Love Reign O'er Me
My Generation / Old Red Wine
Won't Get Fooled Again
Amazing Journey / Sparks
See Me Feel Me
Listening To You
(7月24日 横浜国際競技場)
遂に、日本でのザ・フーのライブが実現した。何と待ったことであろう。1989年の再結成ツアー時にも、来日の噂が高まったが、結局それはどこか
へ消えてしまった。その後は、「ロイヤル・アルバート・ホール」や「コンサート・フォー・ニューヨーク・シティ」の映像を見るにつけ、「これが日本で見ら
れたらなあ。でも期待薄だな」と思っていたものだ。
そんな経緯があったから、今年4月に「ロッキング・オン」誌上で来日が発表されてからも、ずっと「本当に来るのだろうか」と疑心暗鬼であったこと
も確かだ。7月22日になって、彼らが日本の土を踏んだというニュースが飛び込んできても、それが公式サイトでの発表であっても、まだ100%信用できな
い自分がいた。
私が会場に着いたのは、16時20分ころ。グッズ売り場に行ってみると、「The
Whoのグッズは売り切れました」との掲示があった。「えー、売り切れかよ」。Tシャツを記念に買おう(私は、普段ライブ会場でグッズを買ったりはしな
い)と決めていたのに、何と言うことだ。この調子では明日の大阪でも買いそびれるであろうと思った。
グッズ売り場とゲートの間の広場では、ユニオンジャックにマジックであれこれ書いている人たちがいた。その前には、オリジナル・メンバー4人の等
身大に近い看板らしきものが立て掛けられていて(彼らが自前で用意したのだろう)、写真を撮ったりしている姿が見えた。
入場ゲートを通った後、しばらくは左へ右へとうろついてからスタンドに降りた。私の席は東側の1階である。席についてからステージの方を見回す
と、巨大スクリーンが左方にあって安心した。どうしたって、ここからではステージ上の
彼らの姿はよく見えはしない。
ライブは5時5分過ぎにスタートした。ロジャーがステージに現れ、ピートが現れた。客席から声援が上がり、「本当にライブが実現するのだろうか」 という不安がよ うやく消し飛んだ。そして、"I Can't Explain"のリフが鳴った。
その後彼らは、MCもなく立て続けに演奏した。ピートがウィンドミル奏法を披露すると大歓声。ロジャーがマイクをぶん回せば大歓声。曲その
ものよりも、そういったパフォーマンスに対して、多くの観客が声援を送っているようだ。私はといえば、そういったパフォーマンスが見られた
のも大満足だっ
たが、ザックのドラムの迫力や、ピートのギターの「音」に感激していた。何しろ、フィードバック・ギターまで聴けたのだし。
数曲演奏した後、ピー
トがMCを始めた。日本人の大多数が英語を聞き取るのが苦手ということもあったのか、ピートはゆっくりとしゃべっている。
ここまでは、初の日本公演ということもあってか、観客との一体感がさほど感じられないでいたが、このMCによって「ぎくしゃくした感覚」もある程度解消さ
れたようだ(あくまでも「ある程度」である)。やっ
ぱり、ピートはサービス精神
が旺盛な人なんだな、と納得した。この時、ピートは日本のことを"great
country"と言っていたが、リップサービスだとしても悪い気はしない。
演奏が進むにつれ、ザックのドラムは更に迫力を増してきた。ただし、バスドラが響きすぎという感がなきにしもあらずであったが、私が今までに
行ったライブ(アリーナクラスだけだが)に比べると、音はいい。こんな音を聴かせられたら、CDなんてしょぼくて聴けたものじゃなくなってしまうじゃない
か。
一方、ロジャーの方も次第に乗ってきたようだ。もっとも、当日は猛暑であり(このところ、連日だが)、ロジャーとしては力をセーブしていたのでは
ないか。これもロジャーらしい。ピートは、やる気になると、手が付けられなくなるほどエンジン全開のプレイをする(この日もそうだった)。ある意味「アマ
チュア」の凄みを残したまま60歳になろうとしている。それに対して、ロジャーはあくまでも「プロの歌手」であることを忘れない。デビューから40年経っ
ても、この2人の対照的な性格は変わっていないのだ。
本編は"Won't Get Fooled Again"で締めくくられた。うーん、演奏は凄かったが、分量的に物足りない。と思いつつも、アンコールを待つこと数分、メンバーがステージに戻ってき た。"Pinball Wizard"のイントロが始まる。このイントロを聴くだけのために金を払ってもいいという表現は決してオーバーじゃない。だが、 それにも増してアンコールで良かったのは、"Amaging Journey"から"Listening To You"に至る演奏であった。"Amazing Journey"なんて、キースのドラム以外には考えられないと思っていたけど、ザックだって凄いじゃないか。予想を遥かに上回る出来だ ぞ。そして、 "Sparks"以降は、まるで「ウッドストック」の再現だ。ロジャーがタンバリン2個を叩いているし。
さて、
"Listening To
You"が終わると、ピートは金色のストラトを持ち上げた。両手でネックを持っている。「まさか? やるのか?」 と思ったら、やってくれた。ピート
はストラトをステージに2度3度叩きつけて破壊した。私と周辺の人たちは拍手と歓声を送った。だが、一部の観客は、一体何が起こったのか分
からない様子
だった。もちろん、ピートからすれば、「お前らが見たかったのはこれだろ」というつもりで壊したのだろうし、最早初期衝動云々でもなく、「約束事」ではあ
る。だが、そんなことでベテランを批判するのは間違いである。ベテランはロックには不要とまで極論するならば話は別だが。
ライブが終わると、エアロスミスは見ないで、私は会場を後にした。別に彼らを否定するわけではない。単に体力温存のためである。
(7月25日 大阪ドーム)
朝は、ネットでマスコミのニュース関係を当たってみた。ザ・フーのことを取り上げていたのは、スポニチとサンスポだけ。しかも、スポニチの方はお義理で
書いたような内容で、がっかりした(同じ文面を載せた毎日も左に同じだ)。
昼になって新横浜駅に行った。予約を変更してもらい、2本前の「のぞみ」に乗った。大阪ドームに着いたのが4時少し前だったか。ぱらぱらと雨が
降っていた。
入場ゲートを通る時、ペットボトルは取り上げられ、中の飲み物は紙コップに移し変えさせられた。迷惑な話である。持って歩くのが大変じゃないか。
その頃、場内ではポール・ウェラーが演奏中だった。中に入ると強制的に席に連れて行かれるので、外で聞いていた。外で聞くのも悪くないなと思っ
た。私が場内に入ったのは、ウェラーの演奏が終了間際のこと。席についてみると、前のネットが邪魔で仕方が無い(後には全く意識の外になってしまった
が)。まあ、これがないとアリーナ席に転落する人が出るだろうから、致し方ないことだろうが。
5時ごろになると、スタンドの通路に陣取る人が現れた。出来るだけ前で見たい。その気持ちは良く分かる。もっとも、これらの人たちは、後で警備員
に連れ戻されてしまったが。
演奏が中々始まらない。場内アナウンスによると、ドラムの調整が上手く行っていないとのこと。一寸だけのいら立ちと、不安が頭をよぎる。そうして
待つこと10分、5時20分に
メンバーが現れた。客席も大声援を送る。昨日の横浜会場よりも、遥かに盛り上がっている。そして、この盛り上がりは、ライブ終了まで変わら
なかった。ただし、盛り上がっていたのは、アリーナの前方とスタンド席だったし、バックネット側には客が殆どいなかったのも事実だが。
3曲目が終わったところで、ロジャーが「ドモ」と言った。横浜でもロジャーが「ドモ」と言った記憶がある。日本語MCとしては、このくらいが適当 だろう。今日は、昨日よりもロジャーがよくしゃべっていた。ただし、通常のネイティブのすピードだったが。
"Love Reign O'er Me"が終わると、ピートによるメンバー紹介があった。最後にザックを紹介した時は、ピートが他 のメンバーの紹介以上に声を張り上げていた。もちろん、観客の声援もこのときが一番大きかった。つまり、ピートも観客側も、「このライブで最も重要なのは ザック・スターキーなんだ」ということを了解し合ったのだと考えていいだろう。 (ちなみに、昨日最後に紹介されたのはサイモンだった)
演奏も音響も、今日大
阪会場の方が明らかに良かった。ロジャーも昨日より声が更に出ていたし、他のメンバーも然りだ。確かにミストーンはあったし、"Won't
Get Fooled Again"では、"I'll move myself and my family
aside"のヴァースに上手く入れず、省略バージョンになってしまうということもあった(その時ロジャーは、一瞬とまどいの表情を見せた)。しかし、そ
んなトラブルにもピートや他のメンバーは動じなかった。さすがはザ・フーだと思ったのは、まさにこの時である。
演奏と言えば、今日のライブで特筆すべきことは、ピートのギターである。昨日よりも更にザックのドラムやラビット
のキーボードの音量が大きいのに(会場の仕業だろうか)、ピートのギターがそれらに埋もれてしまわなかったのだ。私の席からは、むしろピー
トのアンプは遠い側に置かれているというのにだ。普通だったら、団子状態の音になってしまうはずなのに、それが全く無い。音の分離が非常に良かった。
だからこそ、一層楽しめたし、興奮した。
アンコールでは、ピートのギターの調子がおかしくて、中々"Pinball
Wizard"に入れないように見えた。しかし、あれは本当だったのだろうか。ピート流の演出だったのかもしれない。
この日のアンコールでは、思いのままにインプロヴァイズしまくっているピートがいた。もしも、ジョンが生きていたら、と思うのはやめておこう。いや、ピ
ノがだめだったというのではない(音量には物足りなさを感じたが)。