It's Hard
ザ・フーは、1981年にスタジオ録音アルバムを発表しているが、翌年の1982年にも再びスタジ オ録音アルバムを発表している。それが、"It's Hard"である。実は、ザ・フーがこれほど短期のインターバルでアルバムを発表したのは、60年代以来のことである。この辺りの事情については、クリ ス・チャールズワースは、多額のアドヴァンス・マネーをもらっていたからではないかと推測しているが、あるいはツアーのために慌てて制作したのかもしれな い。ともかく、本作発表後にザ・フーは北米ツアーを敢行し、そのまま活動を停止した。その後何回と無く再結成ライブが行なわれているが、スタジオ録音アル バムは本作が最後となっている。
本作には12曲が収められており、そのうち9曲がピートの作品、3曲がジョンの作品である。前作、前々作の収録曲はともに9曲であったから、本作 の収録曲数を考えると、決しておざなりな態度で制作したのではないと思う。それは、プロデューサーに再びグリン・ジョーンズを据えたことにも現れている。 わざわざ、どうでもいい作品を作るために、グリン・ジョーンズを起用するだろうか。つまり、ピートは最後の勝負に出たのではないかとも思えるのである。
プロデューサーを元に戻したためでもあるのだろうが、本作では、前作とは打って変り、シンセサイザーの多用が耳に付く。中には、また新しい使い方 かな、と思える箇所もある。また、M3、M4、M7、M12で聴けるように、エレクトリック・ギターの音色も、前作のきらびやかなものから歪んだものに なっている。つまり、サウンド的には「フー・アー・ユー」の後継を狙っていたようにも思える。
しかし、成果としては疑問符が付く作品であると言えるだろう。まず、楽曲のレベルであるが、アルバムの前半は、それなりの水準を保った曲が続いて いると思う。もしも80年代後半に発表されていたら、ヒットしたのではないか、と思わせるような曲も幾つかある(ヒット=名曲とは言えないけれども)。し かし後半になると、「他のロックバンドの曲と比べれば、それほど遜色があるとは思えないレベル」の曲になってしまっている。ファンとしては、そんなレベル では満足できないのである。
とはいえ、楽曲のレベル云々に関しては、バンドの演奏自体も多いに関係していると思う。バンドとしてのバランスが、本作では良くない。「てんでばらばら」と言った方がいいかもしれない。象徴的なのがジャケットで、メンバー4人の視線の先が勝手な方向を向いているの である。
否定的なことが多くなってしまったが、こと歌詞に関して言えば、ピートの作品は、一部の例外(M8など)を除いて、良い出来のものが多い。このと ころ続いていた自虐的で出口無しの歌詞から、本作では一歩踏み出した感があ る。ただし、10代の少年少女が聞いて共感する歌詞ではないだろう。だが、、30代後半を迎えたピートが10代に共感される歌詞を作ること を期待する方が間違いである。そんなものは「四重人格」でピリオドを打っているのである。
1. Athena
軽快なリズムとキャッチーなメロディの曲。シングルカットもされているが、この判断は的確だろう。ホーン・セクション(恐らくジョンが吹いてい る)やシンセサイザーの使い方は上手いと思う。しかし、問題なのはボーカルであって、特にピートの"just a girl, just a girl"というパートは聞き苦しい。中盤のテンポチェンジするパートではそれほどひどくは無いのだが。
"Athena"とは、ギリシア神話に登場する女神であり、豊穣や戦勝を司る神らしい。なるほど、"She's
A
Bomb"という一節はそこから来ているのかも知れない。コーラスパートの歌詞だけを読んでいると、"Athena"という少女に恋する中年男の話かな、
と思ってしまうのだが、どうも、父から見た娘についての歌のようである。例えば、
1stヴァースでの「平安な時には彼女を抱きしめて食べさせてあげる」、
2ndヴァースでの「彼女の口から一言漏れるだけで、心配事なんて何処かに行ってしまう」
といった下りは、まだ幼い娘を溺愛する姿が描かれている。ところが、ピートのリードボーカルのパートに至ると、
「子供の顔を覗きこみながら/もの心付くまでお前がどれ位微笑んでいたか考えた/どれ位(子供達は)
子供のままでいられるのだろうか」
という歌詞が登場する。思春期を迎えて、親の思い通りに行かなくなった(反抗期を迎えた)娘を見て、とまどっている姿が描かれているのだろう。その次の
パートでも同様である。だからこそ、「彼女は爆弾」と唄っているのではなかろうか。
しかし、ロジャーのシャウト気味のボーカルは、そういった歌詞の意味を上手く伝えられていないと思う。むしろ、少女に恋した中年男の歌と取られて も仕方が無いだろう(もしかして、ダブル・ミーニング?)。この曲に限らないが、後期ザ・フーにおけるピートの作品は、ロジャーよりもピートが唄うのに相 応しい作風だと思う。
2. It's Your Turn
ジョンの作品で、本作中で最もザ・フーらしいメロディを持った曲のような気がする。ボーカルはロジャーが取っている。ジョンのリード・ベース(速 弾きではないが)とケニーのドラムには、「さすが」とうならされる。この曲にはリズム・ギタリストとしてアンディ・フェアウェザロウが参加しているのだ が、肝心のギターはミックスで奥に引っ込められている。ピートは不参加なのだろうか。
歌詞は、自分の地位を脅かそうとする若者について唄ったもののようで、テーマ自体はピートが何回となく取り上げてきたものと言える。しかし、この 曲の歌詞は、「君たちの番だよ」とは言いながらも、若者達の前に壁として立ちはだかろうとする姿を描いているようだ。これがピートだったら、もっとあっさ りと敗北を認めてしまったことだろう。
3. Cooks County
大部分では、同じフレーズを繰り返す単純な曲だが、中盤のコーラス・パートでは、ガラリと曲調が変わる。ロジャーのボーカルは攻撃的ではあるのだ が、どこか表面的な攻撃性としか聞こえず、空回りしている。ピートのソロ作品としては良いのだろうが、それを無理にザ・フーに押しつけてしまっているよう だ。それよりも、この曲での聴きどころは、エレクトリック・ギターとシンセサイザーのバッキングであって、特にギターのパートには注力して聴いた方が良い と思う。まるでベースのような音階を使っているところがあるのである。
歌詞は、ピートが永年追求していたテーマの一つを取り扱っている。1stヴァースには、「揉め事を 探しているのなら/弱者は既に揉め事を抱えて大変なんだと云うことを、覚えておくがいい」という歌詞があるが、これなどは革命、革命と騒ぎ 立てる人達への忠告であり、「無法の世界」に通じるものがあるだろう。もちろん、「無法の世界」での語り手 は当事者であり、この曲での語り手は第三者という違いがある。それは、ピート本人が年齢を重ねたことに大きく関係しているに違いない。深読 みすれば、ロック・シーンの現役として君臨した70年代初期とは違い、既に現役から退いたという感覚が、こういう歌詞を生んだとも推測出来るのではない か。
そのような、現役から退いた者の視点(疲れ果てた者の視点と言い換えても良いが)は、4thヴァースや5thヴァースにも現れている。4th ヴァースでは、「彼等を家から遠ざけたりしないでくれ/頼れるものがあっても、人は淋しいもの」と唄われ、5thヴァースでは、「飛び出しナイフを捨ててくれ/団結すれば、流血の終わりが早まるだろう」と唄われる。「無法の世界」 における「あくなき闘争」とは異なり、人間の弱さや闘争に疲れ果てた人の姿が表れているのだと思う。
そして、コーラスパートである。ここでは、「音楽の力が弱まるまで何度でも俺は唄う/苦しみ、痛み は和らぎ、遂には消え失せるだろう/何百年の歴史を通じて歌は響く/曲がった彗星の軌道に乗って音楽は道を作る/始まった所で終わりとなる」と 唄われている。ここは、音楽の力を信じ、それに殉じようとする者のメッセージと読めなくは無い。「ピュア・アンド・イージー」や「ソング・イズ・オー ヴァー」につながる歌ということである。となると、ロジャーのパートの歌詞とは随分異なる主張である。この矛盾はどう解釈すべきだろうか。一つには、疲れ 果てた主人公が、それでも何とか自分を激励している、という解釈が成り立つであろう。もう一つとしては、コーラスパートは「神」あるいはそれに類する存在 からの叱咤であるとの解釈も成り立つ。どちらが正解かなどという議論は、あまり意味が無いだろう。
4. It's Hard
アルバムタイトル曲は、エレクトリック・ギターによるイントロで始まる。ギター・ソロは本作中で一番の出来であろう。前作の"How Can You Do It Alone"と同傾向ではあるのだが。しかし、ロジャーのボーカルに全く冴えが無い。これでは「雇われボーカリスト」の域を出ていないと思う(逆に本物の 「雇われ」だったら、この出来では失格であるが)。エンディングのピートのギター・ソロも、ロジャーのボーカルがぶち壊しているようにしか聞こえない。
歌詞は、「〇〇は誰にでも出来るのに、××出来る奴は殆どいない」という構図が延々
と続いている。この時期のピートの作品としては、言葉数を極端に削ぎ落とした歌詞であり、CDの対訳などは、訳の一例と考えた方が良い。歌詞を読んだ銘々
が考えるべき歌詞になっているのだろう。ただし、最後のヴァースには、そういう多重の意味を持たせていないようだ。
「正しいカードを引いた者は皆、何でも出来る/だから僕は人生について考えている/真剣に考えているんだ
/神よ、別のカードを引かせてくれ/このカードはあまりにも酷すぎる」
すなわち、運命は神が決定するものという見地に立っているようだが、以前のピートだったら、絶対こういう歌詞は書かなかったであろう。ピートが必要とし
ていたのは、「神」ではなく「師」であり、しかも盲目的に従うのではなく、自分を見失わないことが大事だとピートは主張してきたのだから。しかし、それも
また老いるということである。
5. Dangerous
ジョンの2曲目の作品。シンセサイザーでギターのバッキングの代用をするなど、これもピートがあまり参加していないのだろうか。この曲では、ロ ジャーのボーカルは比較的良い出来なのだが、ベースとリズム・ギター、そしてメロディまでもが80年代米国ロックそのものである。当時としてはそれで良 かったのだろうが、「時代を超えた新鮮さを保つザ・フー」としては、成功したとは言えないのではないか。
歌詞の方は、ジョンの作品だけあって、訳の分からぬ所が多い。「暗闇から君を見つめている」だの「君に触ろうとしている」といった、相手に対して ひたすら恐怖をあおっている歌詞が目立つのだが、面白いのは”I”つまり「俺」が一度も出てこない点である。つまり、相手に恐怖心を抱かせる者が自分だと は、決して言っていないのである。これは、ストーカー云々というよりは、怨霊の類ではないかと思う。
6. Eminence Front
はっきり言って、ピートのソロ作品をアルバムに加えたようなものである。ギターのトーン、ジャズ風のベース・ラインなど、いかにもピートのソロで ある。長すぎるイントロには少し閉口するが、メロディ自体は良いと思う(シングル向きではないが)。ただし、ドラムがあまりにも単調である。もっとリズ ム・アレンジを練って欲しかったと思う。もし今ならば、ドラム・マシーンを使うだろう。
タイトルの「エミネンス・フロント」とは、表に現れた権力者という意味らしい。表の権力者の影に隠れた存在(黒幕?)によって、世界がおかしな方 向に向かっているというのに、みんな、そのことを忘れてしまうという警告が、歌詞に込められているようだ。ところが後半に何度と無く繰り返されるのは、「パーティに来いよ、着飾って」、という歌詞なのである。悩みや問題を唐突に放り出してしまうのは、 ピートのインタビューでは良くあることだが、この歌詞もそうなのだろうか。いわゆる「諦めの境地」である。それとも、パーティへの参加を呼びかけている相手こそ、影の権力者であって、パーティの乱痴気騒ぎの中で、正体を引っ剥がしてや る、という挑戦状なのだろうか。
7. I've Known No War
イントロのバッキングは、「ジョイン・トゥゲザー」を思い出させる。本作中M12に次いでギターの音がラウドなアレンジであろう。これはファンに とっては嬉しいことだと思う。しかし、リズムが単調であることと、メロディに起伏が無いことは致命的な欠点だと思う。
歌詞はタイトルからも予想されるように、反戦歌である。第2次世界大戦が終わってから生まれたピートであるから、「俺は戦争は知らない」と主張す るのは、理解できる。なるほど、英国はその後戦場とはならなかったのだから。しかし、こういう物言いには反論が来るであろう。なにしろ、1945年以後 も、世界では戦争が絶えなかったのだから、その事実を無視して「戦争は知らない」というのは、どういうことだという主張である。確かに、不用意と言えなく も無い歌詞である。
だが、この曲の主題はそんな所にあるのではない。重要なのは「これからも俺は戦争を知ることは無いだろう」である。つまり、次の世界大戦は核戦争 であり、そうなった場合は自分も死んでしまうだろう。死んでしまったら、体験も何も無いのである。
蛇足だが、歌詞中に5月19日という特定の日付が出てくるが、これはピートの誕生日のことである。ピートは私小説作家ではなかったが、こういう形 で自分を出すというのは、どうしてなんだろうか(別に非難しているのではないが)。
8. One Life's Enough
ピアノをバックにロジャーがオペラ風に唄っている。個人的にはこの手のスタイルは好きである。ただし、デモの域を出ていないような気がしてならな い。
歌詞は、「10代の頃は良かった」で始まる。60年代に「10代の苦悩」を歌にしてきたピートとは思えない内容である。その後も、かなり甘い恋愛 情景描写である。ラブソングの類を書いても、恋愛に懐疑的なピートは、何処へ行ってしまったのだろうか。
9. One At A Time
3曲目のジョンの作品。ボーカルもジョンが取っている。ホーン・セクションを使ったイントロは、どことなくユーモラスであるが、メロディやアレン ジは80年代前半に米国でヒットした系統に近いと思える。
歌詞は、「トリック・オブ・ザ・ライト」に続いて、またも娼婦風の女性について唄ったもののようだ。
「彼女が欲しいのなら、捕まえておくことだ/俺が自由に出来るのは一時に一回だけ/さあ彼女を捕まえるん
だ」
深読みすれば、若手のロック・ミュージシャンに対して、「成功はそうそう長続きはしないぜ」と言っているようにも思えるのだが。
10. Why Did I Fall For That
これはピートの作品なのだが、M9と同様に80年代風のメロディを持った曲である。シンセサイザーのバッキングが耳に付く。例えばマンドリン風の 音を出しているなど、工夫は感じられる。また、ケニーのドラムも良いと思う。が、今度はロジャーのボーカルやコーラスがどうにも軽薄に聞こえてしまう。
タイトルは「何故俺は負けたのだろうか」である。具体的に、どういう点で何に負けたのかについては、全く明らかにされていないが、決して個人的な こと、例えば音楽業界での敗北について唄っているのではない。テーマは人類全体に関わることである。歌詞には書かれた時代(1980年代初め)背景が大き く関与しており、それはレーガン政権による「強いアメリカの復権」というスローガンである。もちろん、その前には、ソ連のアフガニスタン侵攻という事件が あるのだが。
核戦争の恐怖が最も強かったのは、今となっては「キューバ危機」の頃だと言えなくはないが、1980年代初頭も、レーガンの登場により、第3次世 界大戦への恐怖感はピートならずとも、多くの人々が抱いていたはずである。であるから、歌詞の冒頭においても、「未来のストリートには/愚か者といわゆる知識人の生き残りばかり」という一節が登場するのであろう。 核戦争になったら、そういった人達(イコール核戦争を推進した人達)も死ぬ可能性が高いのだが、それはカール・セーガンの「核の冬」説が発表されてから普 及した考えであり、当時はまだ、戦争推進者達は真っ先に核シェルターに逃げ込んで生き延びるだろうと、思われていたのである。
続く2ndヴァースでは、「我々は救われたと信じる人々によって為された性急な約束/彼等は正しい 行いをしてきたと我々に信じ込ませる」、という歌詞が登場する。前半の「救われたと信じる人々」とは、キリスト教ファンダメンタリスト (レーガンもその一人であるらしい)であり、「性急な約束」とはラプチュア思想のことかもしれない。いわゆる「聖戦」である。ところが、そのすぐ後には、「我々が戦い方を忘れたというのが真相なのだ」という一節が続く。この一節は唐突である。これは、「何 故我々は負けたか」という疑問に対する回答として受け止められるのだが、すぐに「我々の敗北の理由は誰も知 らない」という歌詞が続くので、歌詞の読み手は益々混乱してしまう。いささか無理を承知の上で解釈すれば、前者の「戦い方を忘れた」という のは神から出たヒントであり、人類はまだ敗北の理由を知ってはいないということになるのだろうが。
その後に、一行だけ独立した歌詞が入る。「俺の傘の下には雨が降らない」である。こ れもまた、誰の視点から出た言葉なのか不明確である。核シェルターに守られた人の言い分なのか(雨は核爆弾の象徴だとする説)、戦争で全てを失った街に一 人とぼとぼ歩いている人のつぶやきなのか(雨が悲しみの象徴であり、感情が涸れ果てたとする説)。
3rdヴァースは、ここまでの未来についてと思しき歌詞から一転して、現在についての歌詞であろう。一行目には、「晴れた日、真夜中までは後4分」という歌詞があるが、これは当時盛んに言われた「核戦争時計」のこと ではないだろうか。このヴァースでは、「多分俺達は時計の針を逆に戻せるだろう」というの が、一つの希望として述べられている。ピートは決して絶望しているのではなさそうだ。とはいっても、楽観主義でもないと思えるが。
11. A Man Is A Man
スローなバラードである。ロジャーのソフトタッチのボーカルは良いと思うが、元々のメロディが単調な気がするし、ピートのボーカルが邪魔だと思 う。また、M10とは逆に、ケニーがドラムを叩き過ぎていると思う。結局、久々にジョンの唸りまくるベースが聞こえる点が嬉しいところか。
歌詞は、精神的に子供のままの「君」と、精神的に成長した「彼」を対比させた形になっている。「君」を実在の人物に当てはめることも可能である が、ロック・ミュージシャンは、精神的には子供のままな人が多い(あくまでも1980年代初頭時点で)ので、それをやっていたらキリがないだろう。対する 「彼」は、想像上の人物である可能性が高い。
前置きが長くなったが、要するに「本物の男とは何か」がこの曲のテーマなのだろう。それは、見た目が格好良いとか、肉体的な力を誇示するといった ものではなく、「誰かに手を差し延べる時、男は男なんだ」というのが結論とされている。個人的には、とても感動的な歌詞だと思うが、メロディやアレンジが 付いて行っていない点が残念でならない。
12. Cry If You Want
マーチのリズムをベースにした曲で、ピートのパワーコードが炸裂する。何と久々なことか。ファンはこれを待っていたんだよ、と言いたくなるところ である。それにジョンのベースとの絡みも良い。ただし、言葉数が多すぎるためか、メロディを聴かせたいのか、それにはこだわっていないのか、もう一つ焦点 が定まっていないようだ。もしこの曲が今録音されれたとしたら、ボーカルはピートが取るだろう。
歌詞は、「お前」の過去をあざける内容になっており、「泣きたいのなら泣けよ」という捨て台詞を投げている。この「お前」はピート自身であり、 ロック界全体に対する憤懣でもあるような気がする。1stヴァースでの「お前が今日言ったことは取り消せないぜ」という歌詞は、「ザ・フーの活動停止宣言 は思い付きでは済まされない」、という意志が現れてしまったようにも思える。
(2000-9-9)