Supergrass Road To "Rowen" 

 

 1. Tales Of Endurance (Parts 4, 5 & 6)
 2. St. Petersburg
 3. Sad Girl
 4. Roxy
 5. Coffee In The Pot
 6. Road To Rowen
 7. Kick In The Teeth
 8. Low C 
 9. Fin

 

  スーパーグラスといえば、約10年前のブリット・ポップ・ブームを代表するバンドとしてのイメージしか私にはなかった。デビュー作「コート・バイ・ザ・ファズ」は、当時買ったのだが、疾走感のあるギター・ポップという印象はあるものの、こちらとしては決して熱心に聴いたわけではなかった。「10代には向いているかもね」 というのが、正直な感想である。であるからして、本作「ロード・トゥ・ルーアン」が発表された当時(2005年8月もしくは9月。済みません、記憶が不確かで)、レコード店の試聴コーナーで試聴するまでは、何の期待も抱いていなかった。

 だが、本作を聴いてみて驚いた。ギター・ポップ云々とはかけ離れた、良質なポップ・ミュージック満載のアルバムではないか。逆に、従来のスーパーグラスを期待する人の中には、がっかりする人も現れるではあろうが、それは勿体ない。

 本作の特徴は、アコースティック・ギター、ストリングス、キーボード中心のアレンジである。特に、M1〜M4という前半の曲と最後の曲に顕著である。以下、M1〜M4について述べよう。

 M1「テイルズ・オブ・エンデュランス」は、タワーレコードが本作を「プチ・プログレ」にカテゴライズしたことでも想像できるように、ピンク・フロイドの「狂気」の1曲目を彷彿させるアレンジ、全く別の曲をつなげたような展開に耳が惹かれる。後半のジャズの要素も見られるファンク調のパートも聴きどころだ。

 M2「サンクト・ペテルスブルク (註:これは邦題の表記。何で、英語のカタカナ表記じゃないんだろう?)は、スイング・ジャズの要素を持ったフォークロック調の曲で、ストリングスがふんだんに使われている(このストリングスの音色からすると、生楽器ではなく、シンセサイザーで作った音のように思えるが)。

 M3「サッド・ガール」は中期ビートルズ時代の特にポール・マッカートニー作品を髣髴させる曲で、ファルセット・ボーカルもやはりビートルズ風だ。

 M4「ロキシイ」はストリングスとキーボードを中心にアレンジされた曲である。あまり分厚くない音といい、楽器の定位があまり変化しないミックスといい、ライブで演奏することを前提としたサウンドになっているような気がする。曲の後半はインストゥルメンタル・パートで、ストーンズの「サタニック・マジェスティーズ」に収録されている「ゴンパー」を想像してしまうような展開を見せる。

 こういった、ギター・バンドらしからぬ曲が続いた後に、M5「コーギー・イン・ザ・ポット」というインストゥルメンタル曲になる。劇場の幕間に流れるようなユーモラスな曲だ。掛け声がそういう印象を一層強くしている。実際、本作の後半部はガラリと印象が変わるのだ(ただ、もう少しリードギターが上手かったらなあ、とは思うが)。

 M6はタイトル曲である。本作中最もロック度が高い曲で、エレクトリック・ギター中心のアレンジである。デビュー期からずっとファンだった人には最も馴染みやすい曲だろう。M7「キック・イン・ザ・ティース」も、シンセサイザーがバックに使われているとはいえ、ギターロックである。

 M8は、70年代初期のニール・ヤングを髣髴させるフォーク調の曲。特に、ドラムスの音色にそういったものを感じる(個人的にはニール・ヤングには詳しくないのに、こんなこと書いていいのかなとは思うが)。そして、M9「フィン」は、いかにも最終曲といった印象のある、キーボード主体の曲である。

 

 日本盤CDの帯には、「スーパーグラスの新章が始まる」と書かれている。今後彼らがどのような方向に進むのか、全く予想が付かない。10年後には、本作は異色作として位置付けられる作品になる可能性もある。ただし、今までの路線に戻る可能性は低いのではないか。あれはやはりメンバーの年齢が作らせたものだと思うからだ。  

 

 

 

(2006-1-14)

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