レディオヘッド ライブ@横浜アリーナ

 

 10月4日に行われた、レディオヘッドのライブに行って来たので、その感想を以下に記す。

 会場に着いたのは18:45頃であった。会場ではビートルズの曲が流れていた。19時を10分くらい回った頃、オープニング・アクトのクリニック(10月下旬に日本盤アルバム発売予定)が登場し、演奏を始めた。クリニックのメンバーは、顔を覆い隠して登場することで知られているが(あくまでも極く一部での話)、私のいるところからは、全く分からなかった。

 なお、クリニックのライブだが、ボーカリストがピアニカを使ったりするのはユニークと言えるが、全体としては「まだまだ」、という感が強い。ボーカルの声が通っていないのが、特に気になった。アリーナでのライブは、まだ荷が重過ぎるのではないか。

 クリニックの演奏は30分ほどで終了し、その後セットの組み直しとなった。これがまた時間がかかった。何しろ、レディオヘッドが登場したのは20時少し前なのだから。その間、古いジャズ・ボーカルものやブルースっぽいポップスが流れていた。「アムジーニアック」には、その手のものが2曲収められているが、彼らの音楽志向はそちらを向いているのだろうか。

 さて、ここでやっと本編に入る。ライブは3部構成(最後はアンコールか)になっていたが、別に各コーナー毎にテーマがあったわけではないと思う。演奏された曲も、「OKコンピューター」、「キッドA」、「アムジーニアック」からほぼ同数が選ばれていたし、「ザ・ベンズ」からも「マイ・アイアン・ラング」という至極妥当な曲が選ばれていた。それと、モノクロの大スクリーン二つを使って、メンバーの演奏シーンが同時に映し出されていた。もちろん、一番多く映っていたのは、トム・ヨークである。おそらく、カメラは少なくとも3台は使われていたと思う。ただし、大スクリーンを掲げたのは、会場が大きいからであり、他の理由は無いと思う。U2とは違うのである。

 演奏の幕開けは、「ナショナル・アンセム」である。「キッドA」発売当初から、最もライブ向きと思えた曲だ。トム・ヨークは、体を小刻みに揺らしながらマイクを両手でつかみ唄っている。いつもの通りである。

 ここ3作のCDを聴く限り、レディオヘッドはギター・バンドという初期のイメージから随分と離れた所にいるように思えたが、ライブは、そうでもなかった。すなわち、音響派の影響をモロに受けたキーボードなどの電子楽器中心の演奏と、ラウドなギター・ロックの両方が混じり合ったものであった。特にギターは、CDよりは遥かにラウドである。しかし私にとっては、電子楽器の音響は、実に心地よく聞こえたのに、ギター・ロック色の強い演奏は、それほどでもなかった。CDが私に与えた影響が強すぎるのか。

 楽器の音色は非常にバランスが取れたものであり、例えばバスドラの音が過剰に響くとか、ギターの音がキンキンするといったことは、殆ど無かった。ライブ演奏のキーマンは、やはりジョニー・グリーンウッドであり、アバンギャルドなギター・ワークだけでなく、キーボードや、妙な発振器まで操っていた。特に私が気になったのは、鍵盤の手前に弦が据え付けられた楽器である。あれは弦なのか、それとも、テルミンの変形だったのか? また、ドラムの音色が、曲によって微妙に違っていたのは、面白い体験であった。

 一方、他の観客の方だが、アルバムの前半に収められた曲に対しては、すこぶる反応が良かった。ここ3作とも、1、2曲目に、特に印象的な曲を配置しているから、当然のこととも言える。とはいえ、これは昔ながらのロック・コンサートではない。彼らの曲は、縦ノリだとか横ノリという言葉で形容できる代物ではない。かといって、しんみりと聞き入る演奏でもない。中々、難しいものがある。つくづくそう思った。もしかしたら、音響派、ポストロックと言われる人達のライブに近しいものがあるのかもしれない(観たことがないので、何とも言えないが)。

 ところで、私がライブ前から気になっていたのは、「キッドA」をライブでどう表現するか、という点であった。彼らのインタビューでも「『キッドA』ではツアーは出来ない」、などと言っていた記憶があったのだ。だが、そういった心配は杞憂であった。もちろん、タイトル曲のようなボーカルに極端なエフェクトを掛けた曲は、セットリストから外れていたから、ということもあったのだが。ただし、唯一の不満は、「エブリシング・イン・イッツ・ライト・プレイス」(「キッドA」の1曲目である)の演奏の時、トム・ヨークのボーカルのキーが外れていたことである。

 全体として、ライブは非常になごやかなものであった。トム・ヨークの日本語MCも聞けたし。だが、決して「エンターテインメント」というものでもなく、何とも不思議な時間であった。そして、ライブが終わったのは22:05くらいであった。ふーっ。

 

(2001-10-6)

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