ベック日本武道館ライブ
去る5月29日にベックの日本武道館ライブに行って来たので、その感想を以下に記す。
開演は19:20頃、終演は20:50頃で、正味1時間半のライブであったが、ちょっと短いなと感じた。だが、それくらいが丁度良いのであって、長いライブはダレたかもしれない。
このライブは"Midnite Vultures Tour" と名付けられていたので、アルバム"Midnite Vultures"の曲を中心に演奏されるのかなと思っていたが、実際はそうでもなかった。確かに、"Midnite Vultures"の曲が一番多かったが、"Mutations"からも結構演奏されたし、"Odelay!"からもポピュラーな曲といえる "Devil's Hairecut"、"Where Is At" が演奏された。それに、私は有り得ないと思っていた、 "Loser" までもが演奏されたのである。他の場所でのライブの情報が無いので、何とも言えないことだが、武道館という場所を意識した選曲なのではあるまいか。一言で片付ければ、ファンサービスである。例えば1曲1曲は比較的短く、インプロビゼーションのような形態は殆ど無かったと記憶している。
ベックのパフォーマンスは完全にエンターテイナーのそれであったと思う。観客を煽って唄わせたり、上から降りてきたベッドに寝転んで唄ったり
("Debra") と、あくまでも楽しむ場であることを意識していたようだ。これは、インタビューでも語っていたことだが、特にグランジ以降のライブに関して、「エンターテインメントを置き去りにしている」と嘆いていたベックならではのことだろう。 かつて見せていた、どこか場違いな存在のベックはもういない。それは、98年のグラミー賞授賞式で見せたぎこちない動作と、今年のアメリカン・ミュージック・アウォードで見せたミック・ジャガーやロジャー・ダルトリーを思わせるようなパフォーマンスを比べれば、明らかではあったのだが。だが、決してサービス過剰という感じはなかったし、観客に媚びているような素振りも無かった。非常に不思議な感覚なのである。
しかし、ベック本人はまとまりのあるエンターテイナー(芸と呼んでも差し支えあるまい)振りを見せつけていたが、ギタリストとベーシストはどこかヘンであった。
音の方は、出だしこそ、ギターの音が会場と共鳴してビビるようなことはあったし、満点とは言えないものの、結構良かったと思う。音量も大き過ぎず程々だった。ギターやベースの音は聞き取りにくかったが、ドラムの音はタイトでパワフルだった。
ライブの最後には、着ぐるみDJのプレイが組み込まれていた。一体誰がプレイしていたのか分からないし、組み入れた目的も判然としないが、何故か強く印象に残った。それはもしかしたら、"Eye Of The Tigar"(こりゃ懐かしい。ロッキー3のテーマ曲だもの)イントロらしきフレーズをプレイした為なのかもしれないが。
(2000-6-7)